プエルトリコのタルパミツノサイカブト:Strategus talpa (Fabricius, 1792)が生きて日本に入ってきていた事がある。ネットで調べればすぐに昔の飼育情報にヒットするが、知っている人達はどれくらいるだろうか。 、、、、、 同時期に生体が入っていたドミニ…
ヘラクレスオオカブトの超極太というのがある。そういう自然界で見られない品種?、血統として売られているのを見かける。 元の生物はグアドループ産ヘラクレスオオカブト原名亜種という事だが、CB個体であり原産地で採集されたところまでの家系図的な詳細は…
botAIに昆虫採集は出来るだろうか、いいや出来まい。なぜそう考えるか綴ってゆく。 、、、、、 初心者の頃からずっと持ってきた感覚なのだが、見た目がどうという要素に関係なく採集家が見せてくれる成果物には好印象があった。 (タラウド諸島カラケロン島…
ベトナム現地の業者より不思議な型のクワガタムシを取り寄せた。グラキリスノコギリクワガタに似る。データはやや変わった産地で同グループ分布域最南端かもしれない。しかしながら交尾器は半壊しており同定には全く使えない状態だった。 大顎が途中で下方に…
南米大陸北西にやや広く分布するネプチューンオオカブト。分類の話はタイプが合体個体だった等これまで知られ、ベネズエラ周辺産の亜種分類については結構混乱があるらしい。 (「Schönherr, C. J., 1806. Synonymia Insectorum, oder: Versuch einer Synony…
アフリカ大陸東部で2000年に採集されたProsopocoilus sp.:ノコギリクワガタ属不明種。詳細データは伏せておくが此のスワンジノコギリクワガタ系のグループとしては記録される範囲から大きく離れて最東端の産。既に故人だが著名なドイツ人採集家により採集さ…
2024年に入って間も無く日本は北陸地震で何かと大変だが、昨年(2023年)秋頃日本の総理大臣は"経済再生の最優先"を訴えていた。"経済最優先"について論理的には"法律よりも?"とか"これまでも長年ブラック企業だらけなのに?"なんて突っ込みたくなるスロー…
偽造データの対処法というと"参照しない"が第一と考えられがちだが、実際には"虫の転売屋が売る物を避ける"が先ず第一歩。転売屋の行動原理は"金儲け"であって採集ではないから。今代において偽造データは珍しくないものの悪質である事に変わりはなく参照価…
"普通種"というのは沢山の個体数を観測しやすい。此の状況のメリットが何かというと、特定の生物集団について"集団内の連続的な変異幅"を理解し易くなる事が挙げられる。普通種の変異幅の出方を知っておけば、認知されにくい希少種の変異幅も少数個体からあ…
オーストラリア産Figulusの不足分を補充していた頃、見慣れない個体群があったから調べてみると其れ等は"Figulus trilobus Westwood, 1838:トリロブスチビクワガタ"であるらしいと知った。希少性は不明瞭だが普通種ではなさそう。 当時、分類屋の友人に意見…
インド東部アッサムから記載されたProsopocoilus (Kirchnerius) boreli (Boileau,1904):ボレルノコギリクワガタは希少種と知られ、インド東部ナガランド、ミャンマー北部に局在的な分布、またインド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州とチベットで多産地…
ベトナム産クワガタムシ科で最も謎が深いものの一つに"ニセカスタノプテルスマルバネクワガタ"がある。既知種の何であるか未記載の分類群であるか不明瞭な事情もあるが、其れだけでなく希少性の謎が深い。 ("タムダオ産"マルバネクワガタ属不明種。故・西山…
仏国の通販サイトで"O. leuthneri"として売られていた虫個体があった。しかしなんだか妙な雰囲気の見た目をしていた事と即決2千円くらいと安価だったので発注してみる事にした。 (不明種♂個体は体長54.9mm。見慣れない雰囲気) 実物が届くと、やはりOdontol…
ヒマラヤ山脈から雲南の山脈群にかけてGenus Digonophorus Waterhouse, 1895:セスジクワガタ属が分布する。殆どが西暦2000年以降の十数年で次々と発見された新分類群。 中標高〜高標高にかけて分布し、成虫の雌雄で形態差が大きい事から♂と♀で別種扱いだっ…
20年近くかけて漸く5頭というソリアシサビクワガタがある。個体群はベトナムの3産地から。入手は全て原産国直ルートを使用した。 (ベトナム南部産。1頭のみで原価すらかなり高額だった。。此の系はタイでも希少だそうだが、ベトナムでもかなり物珍しいらし…
過去に変わったソリアシサビクワガタを2頭手にする機会があった。詳細は公表しないがニューギニア島に近い離島の産。 (初見時は「そんな場所にミレス?」と意外さを感じた) 一見ミレスソリアシサビクワガタに似るも、頭部の前方に伸びる角状突起は比較的太…
カスタノプテルスマルバネクワガタについて網羅的に調べようとしていた折、標本商の友人がインド・ナガランドで似た個体群を見つけていたらしい事を知った。カスタノプテルスに似てはいるが、なんだか異様な体型に見える。しかも黒化型も見つかっているらし…
2022年に採集されたPrismognathus sp. :オニクワガタ属不明種。当記事で産地データの公開は控えるが、iNaturalistで探すとデータに近い場所で外形のよく似た個体の観察記録が見つかる。同産地では他種は多数見かけるものの、此のオニクワガタ不明種だけは見…
長年に亘り悩んできた分類群例としてNeolucanus perarmatus Didier, 1925:ペラルマトゥスマルバネクワガタがある。人間が問題を引き起こして訳が分からなくなっている分類群というよりも、生物学的に種内分類の解釈が困難な分類群として。 N. perarmatusは…
友人達から時折データの事で問い合わせが来る事がある。昔に集めた他者採集品のコレクション群の中に、違和感があるものが見つかる事がある。或いは転売系商売人から妙な売りのオファーの話を聞く場合など。ヒルスシロカブト系グループでも其れがあった時の…
今回のタイトルについて、ちょっと知ってる人の中には「何を阿保な。図鑑に掲載あるでしょ」と思う人達がいそうな予感がする。しかし少々難しい問題にぶつかったため記事にしておく。 私がカスタノプテルスマルバネクワガタのグループについて熱くなっていた…
"同定"となるとタイプ個体や学名の事が関わってくるが、其れまでにとりあえずグルーピングだけしておこうとなると、学名の付与をせずとも"既知の分類群に対して、どの生物集団が種と分けられるか、亜種と分けられるか"等の分類は可能である。 一般的な"分類…
2005年頃の昆虫業界失速の折、私がよく入り浸っていた幾つかの直輸入店は転業という形で昆虫業界から退いていった。思えば暇な時間帯には店主と客がテレビゲームなんかして牧歌的な店だった。売れ行き高の成長率が鈍化したなか中国など原産国の人間がインタ…
(2023.July.26th.記)最近某SNSに"コミュニティノート"なんて機能が付いたらしい。見てみると論文の査読によく似る部分がある。扇動的なSNS投稿や査読よりも大人しい補足文章が明瞭な場所に貼り付けられるシステムは特徴的。各々懸念されるノートの信頼性自…
社会のインフラは結構な割合で科学的な技術に頼りきっている。反して疑似科学というものが知られ、インターネット上で調べても大量の話が出てくる。疑似科学とハッキリ判るものと、科学との境目が判然としないものがある。 https://gigazine.net/news/202105…
2002年採集とされる南米のSphaenognathus sp. 1♂個体。データの示す産地エリアからは此の1♂以外に同属の存在を知らず、追加資料も全く見られない。 (詳細産地の公表は控えるが、ヒントを言えばシワバネクワガタ属の採集例としては初めて知るエリアのデータ…
コモロ諸島とマダガスカル島では、それぞれでノコギリクワガタ属種群の分布が見られる。しかし其の分類上の問題として気になる点が多数見つかったため今回まとめていく。 (マダガスカル島産Prosopocoilus。巨大な完全大歯は結構な迫力) 先ずはマダガスカル…
†Oncelytris esquamatus Li, Yan-Da, Huang, Di-Ying, Cai, Chen-Yang, 2023. Holotype data: Amber mine located near Noije Bum Village, Tanai Township, Myitkyina District, Kachin State, Myanmar; unnamed horizon, mid-Cretaceous, upper Albian to …
分類屋の友人と分類や種概念について延々と議論していると「コントロールが無かったり間違っている論文が分類学論文にとても多い」という話に度々なる。此処で言う"コントロール"とは一般的に使われる"操作"として意味する言葉ではなく"対照群"の事。 https:…
ベトナム北部から此れまでに見た事もないマルバネクワガタが見つかったらしくebayでの出品で初めて写真図が一般的に示された。今回は其の虫について関連する事を現状解るところまで深掘りしてみる。 (ベトナム北部産マルバネクワガタ不明種。艶めかしく華麗…