【Memorandum】普通種で生物種の実在性を考える

 "普通種"というのは沢山の個体数を観測しやすい。此の状況のメリットが何かというと、特定の生物集団について"集団内の連続的な変異幅"を理解し易くなる事が挙げられる。普通種の変異幅の出方を知っておけば、認知されにくい希少種の変異幅も少数個体からある程度逆算可能な事もある。

f:id:iVene:20231231115235j:image(オーベルチュールクロツヤシカクワガタはベトナム北部で局所的に分布が見られる美麗なる普通種。手元にある最大は58.0mmのWF1♂個体。飼育下では55mm以上が出やすい一方、野生下では55mm以上には滅多にならない。野外個体のサイズ傾向については標本商の友人も同様の見解との事だった)

f:id:iVene:20231231115241j:image(野生下で希少な大型♂はWF1で数頭補ったが、其れ以外は全て野外個体。ベトナム・ハザンから適当でも70頭程度集まり、お陰でどういった変異がどれくらいの頻度で出現するのか理解し易くなった。しかし採集法が解る迄は"大変な希少種"の扱いだった)

 分類屋の友人は初めて新種記載された際、採集された個体群の100頭単位で交尾器の比較を行われ、其れで"種内の変異がどの程度のものか"なんとなく掴む事が出来たのだそう。

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 2024年の干支は辰年。辰とは龍、12ある干支の中で唯一の空想生物。龍が架空生物・空想生物である事は世界中で常識的に知られてきた。

https://happy-card.jp/ne/oshiete/history/3798.html

 "空想生物がどう空想であると理解されるか"、"科学的に実在する生物分類群と空想生物が一般的にどのように判別されているか"、明確に理解しておく事も一つ生物分類に必要な認識と考えられる。辰年の干支はそういう意味で一考の良い機会。

https://tabi-labo.com/303237/wdt-loch-ness-monster

架空生物

 実際には存在しない想像上の生物のこと。

https://dic.pixiv.net/a/%E6%9E%B6%E7%A9%BA%E7%94%9F%E7%89%A9

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 科学的に何かを考察する場合、論理的思考に加え批判的思考も必須になってくる。批判的思考がどれくらい出来ているかで、考察の正確さ・再現性も変わってくる。

https://x.com/yfuruse/status/1739839239746113999?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 「クリティカル・シンキング」とは「ものごとを批判的に考え、判断する」ことです。論理的に考えるための手法以外にも、「批判的精神(クリティカル・マインド)」が含まれているのです。「自分の考えを常に疑う姿勢」と言ってもよいかもしれません。
 例えば、「自分に都合のよいロジックを組んでいないか?」「自分の考えを誰かに伝えた際、相手の反論をあらかじめ考えているか?」「その情報は本当に正しいのか?」「事実と意見、目的と手段などをわけて考えているか?」といった問いを自らに投げかけ、常に自分の考えに対して懐疑的であるというマインドも「クリティカル・シンキング」には含まれます。
https://mba.globis.ac.jp/knowledge/detail-21114.html

 今の時代、生物を分類するには遺伝学を理解しておく必要があるが、結果的に理解せずに分類しているとしか考えられない論文が沢山出てくる。多数ある分類の混乱は、結局のところ分類をやる人達のマインドに原因があると理解される。同様に分類以外の情報混乱も。

https://x.com/yuruhuwa_kdenpa/status/1739663388198985925?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 批判的思考は専門性のバイアスで歪みやすく、一般庶民の方が得意という場合もある。であるので、私の場合だとバイアスが無さそうな人達と議論したり意見を求める事が多い。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E5%89%B0%E9%81%A9%E5%90%88

【追記】

 議論というものをする際、論者が科学的か非科学的かで議論の進み方が大きく変わる。

 例えばある科学者の方々の話では、"地球は6千年前に神によって創造された"と宣うインテリジェント・デザイン論一派の信奉者らとの議論では決して意見が合わないのだそう。

https://gendai.media/articles/-/115831?page=1&imp=0

 確かに46億年前を経験した現代人なんて存在しない。しかし古生物の化石は何故あるのかと問うても、ID論者は「それも全て聖書にある神が創りたもうた物だ」と言って、6千年前よりも前の地球史を受け入れなかったそうだ。

 ID論者の信じる対象は聖書で、其れに沿った科学しか認めないという思想意識が彼らの思考を支配している。いわゆる"教条主義"の一端で、聖書の教えに反する考え方は科学的な根拠があっても認めないらしい。

 だから科学的な議論でそういう人達を説得しようとするのは無意味なのだそうな。