【Memorandum】黄金期の名残、タルパミツノサイカブト

 プエルトリコのタルパミツノサイカブトStrategus talpa (Fabricius, 1792)が生きて日本に入ってきていた事がある。ネットで調べればすぐに昔の飼育情報にヒットするが、知っている人達はどれくらいるだろうか。

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 同時期に生体が入っていたドミニカ共和国S. aenobarbus等の近縁種で、タイプ個体群はデンマークの博物館にある。S. talpaの分布域は文献上では広範囲の島々にある事にされているが、プエルトリコ以外からのデータは数も信頼性も乏しい。

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 或る邦人により齎された当時の個体が手元にある。当の採集者はプエルトリコヘラクレスオオカブトがいるのではないかという期待を持ってプエルトリコに赴いた。

f:id:iVene:20240406223834j:image(手元にある野外個体はフセツや触角が残っていない1♂のみ)

f:id:iVene:20240406223839j:image(残る飼育個体群は割と状態が良いものの羽化不全個体を含む。飼育された当時の環境が原産地の生育環境と違ったのか野外個体に比べツノが太い傾向が見られ、またエリトラ表面が凸凹気味。カリブ海の島々に棲むStrategus属は種分化が激しいだけあって環境の変化で形が変わり易いらしい)

http://www.inaturalist.org/observations/196960346

http://www.inaturalist.org/observations/18678289

http://www.inaturalist.org/observations/7708721

http://www.inaturalist.org/observations/74466687

(iNaturalistで見られる野外個体群では大型までツノが細い。ちなみにプエルトリコ産以外の"S. talpa"記録は誤同定の率が高い)

 インターネットがあまり世の中に浸透していなかった頃、永井信二氏によれば「プエルトリコヘラクレスオオカブトは絶滅したと思う」との事だった。"プエルトリコ産"という記録を見た事があるらしい。

 黄金期はそういう時代だったから期待を寄せて採集に行く人達もいたのだった。

 プエルトリコに赴きタルパミツノサイカブトを見つけた採集家はヘラクレスオオカブトを見つけられず、"あれだけの大型種なのに居る気配が全く無い"との事で再渡航もされずになった。

 タルパミツノサイカブトも私的には興味を持つ虫だったものの、いかんせん地味で社会的にはマニアックすぎたらしい。ほんの数系統が飼育家により継代していたが、さすがにもう日本国内の飼育生体は絶えていそう。

 永井氏の見聞きした"プエルトリコヘラクレスオオカブト"は誤データだったのではないかと懸念する。実際、ヨーロッパの博物館所蔵庫でも、"キューバ産"ヘラクレスオオカブトや、"メキシコ産"で亜種リッキーにしか見えないもの等のかなり不安なデータ個体が多数混じっていた。

 カリブ海の島々は不思議な事にクワガタムシ科の分布がほぼ無い。記録くらいは見た事もあるが再発見も聞かないくらい。一方で他の昆虫は島々で分化が見られる。

 生物学的な亜種や種の分化の事を考えれば、一見地味でつまらなそうなカブトムシでも分化の自然史にロマンを見出せる。S. talpaや其の近縁種もそういう注目があれば少しは人の目を引いたかもしれないが、目立つ生物種の日陰に隠れ知名度は一向に上がらない。種層の薄い産地に行く採集家は滅多にいない。

【Reference】

Fabricius, J. C., 1792. Entomologia systematica emendata et aucta. Secundum Classes, Ordines, Genera, Species adjectis Synonimis, Locis, Observationibus, Descriptionibus. Hafniae. C. G. Proft & Fils 1:1-330.

【追記】

 リーマンショックが起きる直前の時点で、虫業界は既に黄金期のお祭り気分を終えたような感じだった。それまでの時代では、自分で外国僻地へと足を運んで新発見をしたいという意気込みの人達が沢山いた。現地調達で信頼を勝ち取ってきた標本商の友人も其の一人。

 採集家は殆どの人がコストがかかる割になかなかアタリの成果を上げられない。どこに何がいるのか広大な世界中の大自然から事前に未知の在り方を知ることは殆ど出来ない。

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 時代は過ぎて今や転売屋だらけのレッドオーシャンが築かれる。黄金期には殆どいなかった転売屋が今は多数派になりつつあり採集家達は減少傾向。

https://x.com/rm_snowman0325/status/1776382619502129480?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 転売屋だらけという事はつまり純粋な客層が激減しているという事を如実に意味する。

https://x.com/keroyon_/status/1775651158234951973?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 わざわざ転売屋を選んで買う人達は純粋な考えを持っていない。自己採集か採集家から直接買えば、採集家の肩身も狭くならなくて済む。

https://x.com/yohsuken/status/1774305360297554337?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/johokuds/status/1776746976929001797?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 実態的に採集家は儲かっていない。なるほど転売屋による資金洗浄に見える行為ばかりが目立つ。

https://x.com/nalltama/status/1775419833821356534?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/nalltama/status/1775420806803407086?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 転売屋には昔から党派性もしっかりある。世間一般から無限に近い悪評を集めていながら業界に寄生するなど、あれほど穢らわしい存在もなかなか見ない。転売屋の時点で終わっている。

https://x.com/satetu4401/status/1774382839628464600?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【Memorandum】育種された系統について実験ノートは残ってる?

 ヘラクレスオオカブトの超極太というのがある。そういう自然界で見られない品種?、血統として売られているのを見かける。

 元の生物はグアドループヘラクレスオオカブト原名亜種という事だが、CB個体であり原産地で採集されたところまでの家系図的な詳細は不明であるから"純系の子孫"とは言えない。

 しかしながら通常の野生型に比べ著しい外形変化が見られるから、交尾器にも変化があるのかどうか気になって入手してみた。

f:id:iVene:20240403083057j:image(前半身斜め前から。前胸背の角状突起が著しく肥大化した様が見られる。此の型は自然界では全く見られない)

f:id:iVene:20240403083100j:image(比較用に図示する体長・前胸長が殆ど同じグアドループ産WF2♂個体の、前半身斜め前からの画像。邦人採集個体の子孫で、採集者から直接入手した個体群の一つ。長く飼われていたからか擦れが多いが、型は野外個体に引けを取らず美しい)

 結果、交尾器も微妙に太い感じにはなっていたが通常の野生型の変異内だった。という事は前胸の角まわりだけが突出して著しい変化を呈した変異個体なのだと理解可能だが、ならば生物現象として此の虫の系統に何が起こってこうなったのか気になる。

f:id:iVene:20240403083111j:image(ついでに170mm以上が出やすくなった系統のCB♂個体も一応手にしてみた。体長は171.6mm。この個体も交尾器に特筆すべき変化は見られなかった。迫力はあるが、これ以上調べる気が起きない、、)

 ネットで調べてみれば色んな系統の掛け合わせで作られた系統なんだそうという事はわかるが、今ある情報だと曖昧なものしか見つからない。"どの遺伝子座に異常が生じて変異しているのか"、無差別に販売される割にそういう配列の詳しい情報が見つからない。

 CB個体で作られたとはいえ此処まで著しい変化なら、原因の遺伝子を突き止めグアドループで新たに採集された野生型系統に同様の遺伝子状態になるよう遺伝子導入を行えば、純粋な野生型系統で同様の外形変異が見られると予想される。両方とも現生する生物系統だから全く不可能という状況ではない。

 ただまぁモデル生物でもないし遺伝子マーカーとしての利用価値もあまり考えられないから私的に自身でゲノム解析からマッピングして比較検証なんて手間のかかり過ぎる事をしようという気にもならないが、違和感が"詳しく調べられていない異常型の生物が軽い感じで商業利用されている状況"にある。

研究におけるモデル生物

 モデル生物とは、特定の生物学的プロセスを研究するために研究者が使用する生物種です。 モデル生物は、人間と似た遺伝的特徴を持ち、遺伝子学、発生生物学、神経科学などの研究分野で一般的に使用されています。  通常、モデル生物は実験環境での維持や繁殖が容易であること、生殖サイクルが短いこと、または、特定の形質や病気を研究するために突然変異体を生成する能力を持つことで選ばれます。 

 モデル生物は細胞、組織、臓器、システムレベルで生態系について貴重な洞察をもたらしてくれます。 モデル生物には複数の種類があり、複雑さや用途が異なります。 通常、酵母のような小さく単純な生物はヒトのがんにおける遺伝子突然変異の研究に用いられ、ミバエ(Drosophila melanogaster)やゼブラフィッシュ(Danio rerio)は、病気の遺伝子的特徴と進行の研究に適しています。 マウスモデルもまた、病気の進行や新薬開発の研究のために生物医学研究で広く使用されています。 

https://www.leica-microsystems.com/jp/%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E7%94%9F%E7%89%A9/

マーカー遺伝子とは

概要

 マーカー遺伝子は組換えDNAを持つ宿主細胞の同定に使われる遺伝子のことです。その遺伝子の存在が簡単に検出できたり、その形質が発現したりします。 一般に、細胞内にDNA分子を取り込ませる形質転換は必ずしも効率の良いものではありません。わずかな細胞しかDNAを取り込まないからです。その結果、形質転換に成功した細胞を膨大な量の未転換細胞から識別しなければいけません。その識別のために、形質転換された細胞だけが生き残れるような条件下で細胞を成育させたり、組換えDNAの存在をテストするスクリーニングを行ったりする必要があります。このためにマーカー遺伝子が利用されるのです。

https://www.wdb.com/kenq/dictionary/marker-gene

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 こういう自然界に無い見た目の生物を人工的に作り出す行いを基本的に"育種"と言う。

 育種学とは、動植物の育種のための理論構築と技術向上を目的とする農学の一分野であり、大別して植物育種学と動物育種学に分かれる。両者の基礎理論には違いはないが、植物においては同じ遺伝子型の個体を複数取り扱えることが多いのに対して、多くの動物(特に脊椎動物)では個体毎に異なる遺伝子型であることが大きく違っている。

 育種学の体系的な研究の歴史は、メンデルの法則の再発見以降である。遺伝学の応用科学として発展してきた。

 現在では、交雑育種、突然変異育種、遺伝子組換え、マーカー支援選抜(MAS: "Marker assisted selection" or "Marker aided selection" 訳語が一定しておらずマーカー選抜、マーカー利用選抜ともいう)などの手法の研究と実践を含む。統計遺伝学、実験計画法や分子生物学など幅広い研究分野と関連を持っている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%B2%E7%A8%AE%E5%AD%A6

 育種自体には歴史があり、養蚕や金魚は世界的に知られる典型例。例えば昔に比べると衰退してはいるものの家蚕の養蚕業は数千年に亘る育種の歴史があるらしく、其の育種の歴史は殆どが謎に包まれる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%8A%E8%9A%95%E6%A5%AD

 しかし、昔に比べて現在はバイオテクノロジーがとてつもなく発達し、家蚕も金魚もモデル動物として娯楽以外の目的である創薬技術研究等のためゲノム解析が行われたりインフラ向上の一助に利用される事もある。有名な育種生物はそういう緻密な研究の積み重ねで安全性が確認されたり、他への汎用性の高い応用研究が可能になってきた歴史もある。

 そういう"研究"を可能にしているものの重要な一要素として"実験ノート"がある。実験ノートのおかげで研究の再現性を確認出来たり、前の実験者が気付いていなかった事実に気付く事も効率よく可能になったりする。

実験ノートの位置付け

 実験ノートは試料やデータと同様に、実験そのものを事後検証するための材料です。

 実験ノートの記載がずさんだったり、書き込まれた実験ノートが破棄されているケースでは研究不正が疑われた際に否定できなくなります。

 不正を行わない潔白な研究者にとって、実験ノートの記録はまさに自衛手段に他なりません。

 2014年12月に公開された理化学研究所の研究不正についての調査報告書を見ると、研究者本人だけでなく同僚や上司の実験ノートまでもが実験データの正当性を検証する材料として活用されていることが分かります。

 しかし、調査報告書の中には、「実験ノートに記載が見つからず、不明であった」という記述も複数回登場し、実験ノートがしっかりと書かれていない場合は、事後検証が難航するということがわかります。

参考: 理化学研究所(2014-12-26)「STAP細胞論文に関する調査結果について」

https://acaric.jp/articles/3970

 そして知っていなければ分からない実験の危険性も実験ノートから解る事があり、科学論文に使われる研究は実験ノートの作成と保管が義務づけられ、対応して様々な法制度が作られ、また法制度や研究の発展に合わせて実験ノートの内容も詳しく残されてきた。

 分類学でも生物によっては実験ノートを採集過程から記録する必要のある分類群もある(観察までに状態変化した場合の原因追究が目的等)。

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 近年のクワカブ業界で"育種"される系統が作られた過程として、今の時代に必要なレベルの生物学的情報が載った実験ノートが残されている感じがしない。見つけられないだけで存在するんだろうか?少なくとも公的なアクセスが全く容易でない。

 何が起点で突然変異みたいな現象が起きたのか客観的に辿る事が可能な実験ノートが無い生物の商売を、新たに始める意味は何なのか。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E6%A5%B5%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%AB%E3%81%8B%E7%94%9F%E5%91%BD%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BE%AE%E8%BE%B1%E3%82%92%E6%84%9F%E3%81%98%E3%81%BE%E3%81%99

 "超極太型のヘラクレスオオカブト"がメンデル遺伝らしい遺伝の仕方をする以上は、フェノコピーが主原因である可能性は無さそうに考えられる。現象は対立遺伝子上にそういう表現型の原因遺伝子がある事を示唆する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E7%9A%84%E7%9B%B8%E8%A3%9C%E6%80%A7

 しかし客観的に分かる実験過程の詳細が中途半端だったり曖昧で不明瞭なままの育種系統が作られ、不特定多数の人により累代可能な状態でフリーマーケット上に売られる。

 実験過程も不明なくらいだから、雰囲気的には需要のターゲットが娯楽目的の人以外に無さそうだが、こういう個体を友人達や一般的な人に見せてもやはりというか何というか評判は全然よくない。

 生物学・医学的に重要な研究はキイロショウジョウバエ等のモデル生物で行われるから、後釜でモデル生物の地位に立つ見込みが皆無な生物種が基礎研究に使用される事も期待されない。何のために系統維持されるのか考えてみても大義を見出せない。

https://www.brh.co.jp/publication/journal/022/sc_1

 遺伝子解析で異常型の原因遺伝子をデータ化しておけば現在の系統が絶えても、もしかすれば遠い未来に再現実験が可能かもしれない。なぜクワガタやカブトムシ等昆虫の育種系統はそういう研究も無しに商売されるのだろうか。公益性を殆ど見出せず、極々ニッチな需要が対象の娯楽目的の色が濃い。

 今はもう体系的な研究技術が殆ど無かった時代とは状況が異なる。こういう育種の方針は、金魚や家蚕のように対応を時代に合わせ適応していくべきと考える。

【追記】

 育種された生物がよく調べずに売買される事について、人によっては「キンギョとかイヌみたいなもんだろ」と軽い考えを言う。

 しかしながら、現実にはそういう人類文明に密接してきた生物種は詳しく調べられ、安全性や公益性が考慮されてきた。

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 遺伝子改変の危険性について、最近の分かりやすい例で言えば新型コロナウイルスCOVID-19の流行に対して行われた科学者達による緊急の対応。初期の流行では感染性・毒性が強く、著名人含め多くが亡くなられてしまった。

 潜伏期間にも強い感染性があり、しかも潜伏期間が長い。爆発的な感染源は、発言や方針がご都合主義的にコロコロ変わる巨大な共産主義国と目される。世界各国で都市部に人口が集中しやすい構成をしてきた人類社会にはクリティカルな大厄災だった。

 新型コロナウイルス用のワクチンは緊急で必要となり、mRNAワクチン実用化の技術が作られた。

 ポイントは、ここで作られたワクチンは緊急事態のために作られた技術という点。今はこのコロナワクチンで様々な論争が噴き上げられている。

 mRNAワクチン実用化技術は緊急で作られた凄まじい技術でノーベル賞を受賞するのも全く納得なのだが、とりあえずこれだけ突貫工事的に作られたワクチンを充分な治験もないまま身体の中に入れるのは抵抗感があり私は結構事前に安全性を調べていた。

 とりあえず前提としてCOVID-19は気をつけていれば感染確率を極力下げられる事が分かった。すぐに感染していた人達は衛生観念が粗かった事も意味してしまうが、其れが現実だった。

 調べる限り症状の重篤化が懸念される高齢者層はワクチン接種の必要性が考えられたが、どうも接種者達の多くが急な発熱の副反応を伴っていた事が怖かった。

 免疫系の機序によるものだから1回目から2回目へと回数を経るごとに副反応が強くなるという説明は理解可能だが、発熱の原因そのものの機序は詳しく調べられている感じがしない。様々な副反応は後になって調べられている状況らしい。

 一応は任意接種という事で、締切も無いという話なので私個人は仕事の忙しさも相まってワクチン接種しないまま長期間が過ぎ今に至る。

 私は別にワクチンに反対している訳でも無いが、接種に積極性も無いという考え。其れに無症状で自然罹患していた可能性が高く、免疫系を考えれば自然罹患による免疫獲得が最も後には良いらしい事も理解した。緊急性を考えれば2回目までは非高齢者でも仕方ないと。

 しかしネット上では此のワクチン問題が年がら年中紛糾している。政府の打ち出した政策で、人によってはワクチン接種が半分強制的に求められたからだ。社会的圧力、海外渡航にはワクチン接種が必要などで。

 当時の私はブラック企業を脱出した後で運が良かったのか無縁な圧力だったが、他には避けて通れない人達が沢山いた。

 私的な考えだが、あの政策はあまりにも強制的過ぎたのではないかと、政府全体による運用方針を問題視する。

 ワクチン自体に利用価値はあるのはあるが、"任意接種"と言う割には、危険性の検証が薄いまま社会的な同調圧力を利用して行き過ぎた接種推奨がされた格好にしか見えなかった。

https://x.com/takavet1/status/1774885734669070409?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

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 政治家もそうだが、一般人も殆どがサイエンスの深淵を知らない。もちろん私も知らない事だらけで、というか知る術の無いブラックボックス的要素が生物現象の神秘に詰まっていて、今の時代でも知っていなくて当然の事が膨大にある。

 今代の文明社会ではそういうのをしっかり調べられ、安全性の検証をされたものが世の中に受け入れられて衣食住に浸透する。

 しかし人によっては知らないままに其の運用法を誤ってしまう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%A2%E8%A2%AB%E6%9B%9D%E4%BA%8B%E6%95%85

 社会的な同調圧力というと宗教裁判で魔女狩りが行われた人類の歴史の汚点を思い出す。知らないものをよく知らないまま利用したい、しかし安心して使いたいという欲求は、自力の理性で抑えなければ人間の本能だから止まる事を知らない。これもマインドの問題と考えられる。

https://x.com/himasoraakane/status/1774853839625314623?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【Memorandum】AIに昆虫採集は出来るか否か

 botAIに昆虫採集は出来るだろうか、いいや出来まい。なぜそう考えるか綴ってゆく。

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 初心者の頃からずっと持ってきた感覚なのだが、見た目がどうという要素に関係なく採集家が見せてくれる成果物には好印象があった。

f:id:iVene:20240322212405j:image(タラウド諸島カラケロン島産オキピタリスノコギリクワガタ。採集家による現地調達のデータは信頼性が高い。データの信頼性が高ければ考察の再現性も高くなる。遠い未来にも役立ってくれる、そういったロマンは代え難い尊さがある)

 其の一方で転売される虫には転売正当化の話が付けば付くほど悪い印象が纏わりつく。「転売なんてやらなくても良いし、転売しない方が絶対良いだろ」と。そうして転売屋になる人間は名前を潰す。

https://x.com/acbuta/status/1771111215416398233?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 経験を積むにつれ無意識のうちにそういった印象が決まる感覚が身に付いて何とも不思議だったが、思い返せば本能的にデータの信頼性でより分けていたのだと判る。

https://x.com/asciiart_novel/status/1769339395788980285?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 採集家が儲からないと新しい成果物の供給が見込めなくなる。しかしあらゆる意味で転売屋は障壁になる。

https://x.com/zanengineer/status/1767699404944015581?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 「転売屋というのは訳がわからん」と友人達含め色んな人達と話してきたが、大体は「狂ってるんだろう」という話にまとまる。

https://x.com/kenmcalinn/status/1769419281161175225?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

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 思考回路は思考の反復練習で複雑に構築されゆく。論理的に考察しようとする事は脳を鍛える事に繋がる。初心者がピアニストのようなピアノ演奏を弾けないように、また採集家にも採集渡航を繰り返して得た技術があるように。

https://x.com/himasoraakane/status/1771106767780385013?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 botAIみたいな模倣物は人がやれるような自己学習進化を行う機能を持っていない。人間が最初にプログラムを仕込まないと動かない。人間が人間を模倣させた電卓、其れがAI。

  AI技術も全て人間が人間らしい生活の知恵で自然界から得た技術が源となっていて、 AIは個としては進化する動機も選択肢も持たない。一見では定型文のコミュニケーションも、人間とAIでは相手の要求を汲み取る際の似て非なる機微で差が判る。

https://x.com/himasoraakane/status/1771059400733843459?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 botAIには繊細な作業である昆虫採集が出来ない事も、そういった人間特有の機微が教えてくれる。例えば昆虫採集をする為の人体と同等品のデバイスが無いし、作る技術も無い。人間の身体をフルに活用して漸く可能になる活動はAIには再現出来ない。botAIには採集家の紡ぐ文章を模倣してしまえるが、実質的には新しい成果物を得る展望を持たない。

https://x.com/you06955488/status/1769542074519744981?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 結構昔、"もっと効率よく採集可能な方法は無いものか"と標本商の友人と議論していた際、「粗っぽい採集をすると虫を破損させてまうから丁寧に採集するのは前提のルール」と結局は今までの手法が最適解だったという話があった。

 大量捕獲やターゲットを決めて狙った捕獲を目的としたマシンは繊細な採集には向かないとも理解される。AIにランダムな動きをしていて尚且つ構造も千差万別な虫を全て壊さないように獲らせるなんてどうプログラムすれば良いのか分からない。だからAIには熟練の採集家がやってきたような昆虫採集は出来ないだろうと見込まれた。

 初心者や子供の場合にはbotAIみたいな所作をしてしまうのは仕方がない。人間も他の知的動物も大人や経験者の真似でコミュニケーションを始める本能行動を持つ。そして真似では解らない部分を真似以外の鍛錬で取り入れていこうとする。

https://x.com/sui72381132/status/1769327778829316118?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 転売や疑似科学で儲けようと画策する山師は、そういう思考の鍛錬を放棄した人達だからbotAIのような模倣を無意識にやる。転売や疑似科学ならbotAIにもプログラム出来てしまえる。

https://gigazine.net/news/20230523-google-photo-ai-prevent-labeled-gorillas/

 人間の為の展望は人間サイドにしか見出せない。 ならば人間がAIみたいにならないように気をつけねばならない。

【Memorandum】n数1で見る奇形?

 ベトナム現地の業者より不思議な型のクワガタムシを取り寄せた。グラキリスノコギリクワガタに似る。データはやや変わった産地で同グループ分布域最南端かもしれない。しかしながら交尾器は半壊しており同定には全く使えない状態だった。

f:id:iVene:20240315074156j:image

 大顎が途中で下方に強く湾曲し顎先が細まる形が印象的だったが、どうも羽化時に真っ直ぐになれないまま固まってしまった奇形という感じ。顎の曲がった部分の裏側は綺麗に見えたものの、チューブを曲げた時に凹むような様子をしていて、また左右の大顎を開いても中途半端な所で限界にくる。

f:id:iVene:20240315074204j:image
 奇形なお陰でさながらウエストウッディオオシカクワガタのような雰囲気もちらつく。届く前に色々考えていた未記載種かもしれないなんて予想も普通に外れだろう。

f:id:iVene:20240315074210j:image

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 1個体で分類群を新たに定義しようという分類論文が今の時代でも沢山出てくる事をこれまた科学者の方々に相談してみた事が多々ある。「サイエンス知らないのに学者名乗っている人がいるのか。にわかに信じられない」など大体ボロクソに批判されるが、割とハッキリ仰られる科学者の方々に聞いてみれば同様の回答を得られる。

 n=1で現象を定義する事は本来できない。比較するコントロールも無ければ主張を補強する根拠も無い。科学者の方によれば、其れはやはり疑似科学の一端なのだそう。

https://evineko.com/stats/sample-size/

【追記】

 話をガラリと変えるのだけど、最近ゲーム作品のFF7シリーズの新作がリリースされ話題になっていた。同作シナリオの一ファンとしてはプレイする時間がなくともストーリーだけは見たいとYouTube配信で鑑賞させてもらった。

https://www.youtube.com/watch?v=olwv76WAFm8&pp=ygUYZmY3IOODquODkOODvOOCuSDmhJ_mg7Mg

https://www.youtube.com/watch?v=153sSO9vu_Q&pp=ygUYZmY3IOODquODkOODvOOCuSDmhJ_mg7Mg

 なるほど此れは凄いクオリティの作品だ。シナリオラストへの批判もあるが3部作中の2作目であるため次回作に期待したい。売上が下がっているのは原因が複合しているだろうから特定困難として、ともかく此のシリーズは目立たない些事以外は本当に外さない。ネット上の談義は信者とアンチが入り乱れアレやコレや感想を述べ合う。雰囲気はなんだか懐かしい気分だった。

 しかし色々読んでいる内に"エアプ"の文字が目に止まった。

769: ID:R+qrnOrK0.net
結局エアプが動画見ただけなのに
やった感出して話してくるからワケわからんのだよな
ゲーム的な話が聞けるかと思って質問したら演出の話だったり
普通に好奇心で聞いただけなのに信者扱いしてけるもんなぁ

777: ID:3FGCy3bL0.net
>>769
エアプがやった感だして話すのはほんとにくそ
最低限やってからだよな

787: id:JfZ7YfyJ0.net
>>769
これはホンマ糞よな
馬鹿にする為に動画見てお勉強して粘着とかなにがしたいのか

https://ff15soku.2chblog.jp/archives/44420351.html

 "エアプ"とはエアプレイ、エアプレイヤーの事らしい。つまりゲームをやっていないのに、やった風な事を言う人達を揶揄する言葉。"知ったかぶり"みたいなもの。これだけ超大作なゲームであるのだから、やっぱりプレイしていないと分からない事は確かに多くあるはずで、"プレイしていない人間だからこそ出す妄言"みたいなのが成程多数散見されて笑える。

エアプ

 未経験者が経験者であり玄人でもあるかのように振る舞うこと、その言動、そのように振る舞う人を指す言い方。「エアプレイ(ヤー)」の略と解釈できる。この場合の「エア」は「架空の」「虚無の」「実体がない」といった意味で形容詞的に用いられる表現。ゲームやスポーツその他のアクティビティの話題において、巷で見聞きした(経験に依拠しない)情報に基づき、横やりを挟むような振る舞いを指すことが多い。

https://www.weblio.jp/content/%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%97

https://www.youtube.com/watch?v=G2fobhbpdIc&pp=ygULZmY3IOakjeadviA%3D
(此の動画は含蓄が深くある。「誰かの亜流をやるんじゃなくて"何が俺にしか出来ないんだろう?"っていうのを探していった方が面白くなる」というのは本当にそうだ)

、、、、、

 "エアプ"と呼ばれそうな人達は、様々な業界に見られる。研究界でも本当なら様々な実経験で経験を積み重ねて理解して新たな発見をしていくべき所を、数多ある他者が書いた論文上の文言を組み合わせただけで"新しい論文"を書こうとする人達。botAIがネット上の情報をまとめるのと同じ感じ。

https://x.com/tkmpkm1_mkkr/status/1764978374072750350?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 "エアプ"で色々進めてしまうと実体験の重みを知る事が出来なくなる。そうすれば真と偽の境界が曖昧な視点から抜け出しにくくなる。

https://x.com/16331633/status/1767208798849257879?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 タイプが1頭で分類の混乱がなんとやら、転売屋のデータで悩んだり、しかし"そういうのを許容して信じようとするから上手く行かない"と気付いて厄な縁はバッサリ断ち切ってしまった方が物事はすんなりと前進してゆく。

f:id:iVene:20240315074722j:image(漫画作品「ブラックジャック(230話)」より。この話も含蓄があったが、昔からこういう人達は少なからずいた)

https://x.com/satetu4401/status/1767572224679260428?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【Memorandum】"十頭十色"ネプチューンオオカブト

 南米大陸北西にやや広く分布するネプチューンオオカブト。分類の話はタイプが合体個体だった等これまで知られ、ベネズエラ周辺産の亜種分類については結構混乱があるらしい。

f:id:iVene:20240310092850j:image(「Schönherr, C. J., 1806. Synonymia Insectorum, oder: Versuch einer Synonymie aller bisher bekannten Insecten; nach Fabricii Systema Eleutheratorum geordnet. Ersten Band. Stockholm 1:1-293.」より引用。久松博士や永井信二氏も著書内に引用した有名な図。タイプ個体実物の現存も私的に確認、原記載図の通り前胸以外をヘラクレスオオカブトで補われた合体個体)

f:id:iVene:20240310175529j:image(iNaturalistより引用。iNaturalistでのネプチューンオオカブトの記録は現時点でこんな感じらしい。生態故か他大型種より少ない。ベネズエラ産の記録もいつか付くんだろうか)

 一応は生体が多数出回るよりも前に直輸入業者等から入手しておいた分が手元にあるものの、現在雑多に出回る物量からすれば心もとない。また過去にベネズエラ産の小型♂や♀はヨーロッパ系等の業者から補ってはみたが、そういうデータはやはり確信が持てない。こういった悩みが出来てしまうから、自己採集か採集者から直接入手する手法が本来最も望ましい。

 其れを考えるのにネプチューンオオカブトはやや良い教材になる。様々な個体の側面図を大きめのものに限るものの以下に列挙する(飼育個体についてはいずれもWF1〜WF3)。印象的な部位以外のおおまかな型だけでもバリエーションが幅広くある事が解る。

 自然現象をどう考えるか、言葉の論理のみからではなく"見て考えての繰り返し"からでなければ分からない事も多い。

f:id:iVene:20240309235430j:imageベネズエラ産。20世紀末、或る蝶屋さんが蝶採集のついでに採集した個体群の一つ。しかし詳細なデータは付いていなかった。黄金期の頃は採集家によるラベルでも曖昧なデータが多数派だった)
f:id:iVene:20240309235427j:imageベネズエラ産。ebayで現地の採集家より)

f:id:iVene:20240309235543j:image(コロンビア産野外個体。野外個体は飼育技術が浸透していなかった頃の直輸入店によるサンタンデルの現地調達)
f:id:iVene:20240309235528j:image(コロンビア産野外個体)
f:id:iVene:20240309235537j:image(コロンビア産野外個体)
f:id:iVene:20240309235534j:image(コロンビア産野外個体)
f:id:iVene:20240309235519j:image(コロンビア産野外個体。狙って採集出来なかった時代の個体は破損率が高い)
f:id:iVene:20240309235509j:image(コロンビア産野外個体。基本型)
f:id:iVene:20240309235507j:image(コロンビア産野外個体)
f:id:iVene:20240309235522j:image(コロンビア産野外個体)
f:id:iVene:20240309235531j:image(コロンビア産飼育個体。飼育技術が未発達だった時代の飼育個体群は野外個体と遜色無い個体が結構あった)
f:id:iVene:20240309235525j:image(コロンビア産飼育個体)
f:id:iVene:20240309235513j:image(コロンビア産飼育個体)
f:id:iVene:20240309235504j:image(コロンビア産飼育個体。羽化不全テネラル)
f:id:iVene:20240309235501j:image(コロンビア産飼育個体。羽化不全テネラル)
f:id:iVene:20240309235548j:image(コロンビア産飼育個体。型の雰囲気は分布域の離れる近縁別種サタンオオカブトに似るがWF1で交雑個体ではない)
f:id:iVene:20240309235540j:image(コロンビア産飼育個体)
f:id:iVene:20240309235546j:image(コロンビア産飼育個体。多数の飼育者が羽化させる個体群は此のように胸角より頭角の長い個体が多い。野外個体ではあまり見ない不思議な現象だが、飼育者によって傾向が変わる感じもある?つまりフェノコピーが分かり易く作用している事がわかる)
f:id:iVene:20240309235516j:image(コロンビア産飼育個体。此の個体ではないが、巷で多く見かける累代の進んだ個体群は累代数が浅かった頃より型が安定しているように見える。"そういう"生物種なのかもしれない)

f:id:iVene:20240309235604j:imageエクアドル産野外個体。"十人十色"という感じで型がバラつく。小型♂や♀はともかく中型〜大型の♂個体はいずれも個性が強く出る。"1生物集団内の多様性"はこういった明瞭な観察が考察の導入になりやすい)
f:id:iVene:20240309235607j:imageエクアドル産野外個体)
f:id:iVene:20240309235610j:imageエクアドル産野外個体。交尾器の形もバラつきがあってなお且つパラメレの開閉具合で見え方が異なるから観察に注意を要する)

 ネプチューンオオカブトは飼育個体は環境によりけりなのか、場合によってはWF1でも野外個体とは異なる型になりやすいらしい。フェノコピーの働きかけがどうなのか等を詳しく考える術は今のところ無いが、進化の歴史を類推する材料としてはなかなか良い。

 ただやはりデータが真偽不明で駄目だと何をテーマにしてもマトモな考察にならないから、データの真偽性に拘る事は基礎的に考えねばならない。

、、、、、

 ネプチューンオオカブトは遺伝子的にもヘラクレスオオカブトのグループと近縁な性質が垣間見えるが、中間的な生物種・亜種が見つからない事に自然史の壮大なロマンを感じる。Theogenesはどの段階で分化したのか、タイムマシン技術でもあれば太古の南米を調べてみたくなるものだが。

【Reference】

Schönherr, C. J., 1806. Synonymia Insectorum, oder: Versuch einer Synonymie aller bisher bekannten Insecten; nach Fabricii Systema Eleutheratorum geordnet. Ersten Band. Stockholm 1:1-293.

【追記】

 ネプチューンオオカブトをズラーッと並べると集めていた黄金期の頃を思い出す。友人達と「30年くらい前は本当に良い時代だった」等と懐古する。

 黄金期の頃は近年跋扈するような転売屋は殆どいなかったからデータの問題で悩むことも殆ど無かった。それに希少種が高額なのは仕方ないとしても普通種は安かった。採集家は普通種で儲けようとはしなかった。

f:id:iVene:20240310094045j:image(転売が流行れば捏造データも流行るようになる。バレなければ良いという問題ではなく、業界の信頼が"贋作を本物と誤認させる嗜好"になってゆく風紀の乱れにより落ちる所にある)

f:id:iVene:20240310182113j:image(データさえ大丈夫なら、同定が間違っていても資料性はある。しかし転売される個体だと話は変わってくる)

 しかし昨今の虫業界の場合、何故かは知らないが"転売屋"と"代理店"の区別がついていない人達が物凄く多い。此れは昔から某社すら同様で、だからなのか軽く考えている人達が多い。此れについて注記しておく。

https://x.com/freiring/status/1756262594732826684?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

(前略)

2.転売とは?

 転売は文字通りです。どっから買ったか分からず、どこに売ったかも不明で更にはメーカーに何かをコミットしている訳ではなく、販売や生産計画に大きな害を伴う存在です。また購入したお客様には、その商品に対する信頼感、と言う点に於いては一抹の不安を与えかねません。

(中略)

3.結局、資質の問題です

 その昔、日本にいる頃、ある世界石油五大メジャーの一つと直の契約をしていた時期がありました。これはそれまでやったモータースポーツの活動実績を評価されたのがその理由です。

しかし私はそこで、致命的なミスをしてしまいます。

 販社を希望していた会社を信じて、販売権を渡してしまいました。向こうにしてみたら、メーカーと直接くっつく事が目的です。私を排除し、メーカーの看板で自身を固め、相手を信用させる事。
逆に言うと目的はこれだけです。

 契約するまでは従順な態度でしたが、契約後は豹変。私の排除に必死でしたがメーカーが食い止めてくれました。メーカーはキチンと私の指導のもとで販売をする様に指導しましたが言うことを聞かず。

 結果、そうは言っても世界の五大石油メジャーですから、彼らの持っている別のブランドを私に与えました。すると彼らは狂った様になり、『あのブランドはウチができる。なぜウチにやらせない』と大騒ぎし、結果、二年後にそこは契約解除の憂き目に遭いました。

 この代表者も『いまやる事はAですよ、Bですよ!』と言っても『分かっています山ですね!川ですね!』と違う理解をするタイプでした。大体、共通していますね、こう言う動きをする人って。

(後略)

https://note.com/gwr_marketing/n/nf3febc90edc1

(なお"代理店"と自称する転売屋も存在する。某楽◯関連企業なんかもメーカー不明な商品を大量に陳列していて買ってみれば1〜2週間で壊れる粗悪品ばかりと質が低い)

 昆虫業界のような自然界由来の生物を取り扱う場合、"誰々から仕入れた"等と言っても其れを言う人物が転売屋ならば信用する事が出来なくなる。

f:id:iVene:20240310084613j:image(データ問題は長年現地調達してきた標本商の友人ですら悩まされる。転売屋は元より現地採り子にも色々いるらしいが、此れも現地入りしていなければ分からないし、各詳細があるか否かで考慮すべき事も変わってくる)

 データ信頼性のヒエラルキーは、採集家や産地付近の原住民によるものが最も高く、次いで卸元を明確にする代理店や私みたいに虫を売らない人間、最低辺に転売屋や詐欺師(疑似科学の信奉者含む)という具合。此のヒエラルキーは科学的に絶対で覆る事が無い。

https://graff-it-i.com/2022/03/21/service-reliability-hierarchy/

 データの問題で混乱するような事がある場合は、採集に行くか産地付近の原住民に任せてしまう事が推奨され、より良い建設的な方針を採る場合はABS問題で問題提議されるように原産国以外の研究家や非採集家は"お払い箱"になる方向に向かう。

f:id:iVene:20240310160537j:image(漫画作品「ドラゴン桜」より引用。業界の様々な混乱の原因は対応して様々あるが、大抵の場合に問題の根源として"転売屋の存在"に行き着く。「転売屋みたいなのがいなければ混乱も拗れなかったろう」と、、)

https://news.yahoo.co.jp/articles/fbbe73eca69277dcf9dde675ac60fc32114190be

 採集家で怪しい人物がいる場合には、採集家以外にはどうしようも無い話だから採集家間で問題をクリアする事が推奨される。代理店業者間、収集家間でも同様。なお転売屋だけは議論不要で信用されない。

 未記載の隠蔽種等を観ていてもハッキリ解るのだが、再現性は採集家や現地人のデータの方がよく保っていて信用できる。自然界現象には科学的な再現性があり、また信用できる採集家がいるから相対的に転売屋には信用が無い。逆に転売屋を信用するという事は採集家を疑うという事にもなりうる。其れは流石に訳が分からない。

【Memorandum】正体不明のクワガタムシについての例4

 アフリカ大陸東部で2000年に採集されたProsopocoilus sp.:ノコギリクワガタ属不明種。詳細データは伏せておくが此のスワンジノコギリクワガタ系のグループとしては記録される範囲から大きく離れて最東端の産。既に故人だが著名なドイツ人採集家により採集された個体で、ご遺族により不明種として出品されていた1♂個体。

f:id:iVene:20240128170305j:image(アフリカ東部産ノコギリクワガタ属不明種。大顎は伸びず比較的胴長な体型。交尾器鞭部は原記載における"P. alexandrae"や"P. perbeti"と似通うが外形はかなり異なり特異的で、既知知見で一致するものが見当たらない。初見。肝心の交尾器硬質部位の比較や変異の検証等を待つ状況)

 最初は記録上最東端なコンゴ民主共和国東部辺りに分布する既知種かとも考えたが、どうも特異的で記載にあるものと一致せず、手元にある他の個体群のいずれともかなり異なるし此れ迄に見た事も無い比率の体型。

 此のグループには外形の似通った隠蔽種が沢山あって、希少種も多いため分類難易度が結構高い。其の内多数の分類群を設立したDesfontaine & Moretto, 2003の論文では、図において交尾器鞭部のみの図示であったり判別法がやや曖昧なものも多い。図にしても顕微鏡で覗いてスケッチをした事は察せられたが、強調される判別用の図が鞭部しか無い割に捻れた状態の鞭部で其のまま描写されてあったり、種内変異や破損の可能性が考慮されていなかったりと、図の比較としては結構杜撰な表現と考えざるを得ない。こういう場合、実物資料のグルーピングをしていると同定が困難だったり出来ない例が多くなる。

 いずれの原記載も2003年頃以前の記載であるためやや粗雑な体裁については仕方ないと考えられる側面もあったが、幾つかの分類群についてはシノニムになる可能性が高かったり、"カメルーン〜スペイン領ギニアを基産地としたProsopocoilus kuntzeni Kriesche,1919(タイプは2♀)をシノニムとした処理"があったが、其れは実際には間違いで有効だった可能性が高かったりと後処理が困難な話もある。

 とはいえ今回の不明種個体は体型も交尾器もかなり変わったような感じに見えた。未記載種の可能性も高いが詳細は不明。産地の場所が場所だけに追加がいつになるのかもわからない。

【References】

Desfontaine, M., & Moretto, P., 2003. Revision des Prosopocoilus Africains du groupe swanzianus. Descriptions de nouveaux taxons. Animma.x Supplement 1:1-43.

Bartolozzi & Werner. 2004. Illustrated Catalogue of the Lucanidae from Africa and Madagascar. ― Hradec Kralové (Taita Publishers): 189 pp.

【追記】

 やっぱり採集家は良い資料を持っているなぁ、なんて感慨に浸る。こんな感じでデータも良い上に未知の発見もありうる。採集家は隠蔽種を調べる機会があまりないので、私みたいなのがこうやって見つける事が多い。

 誰も行かないような僻地には、誰も知らないような生物が未発見という事も結構ある。更にそういう生物は希少性が高く簡単には見つからないという事も。現地の文化や情勢、産地での毒性生物や肉食動物等の危険性等の障壁もあり得る。

 また環境破壊による現生生物の減少だけでなく、大自然の深く未知の壁を乗り越えられる冒険家は時代の流れと共に激減しつつある。採集家というのは出費がかさみなかなか儲からないし、安全策を講じると行ける場所がかなり限られる。

【Memorandum】"経済最優先"?で淀む翳り

 2024年に入って間も無く日本は北陸地震で何かと大変だが、昨年(2023年)秋頃日本の総理大臣は"経済再生の最優先"を訴えていた。"経済最優先"について論理的には"法律よりも?"とか"これまでも長年ブラック企業だらけなのに?"なんて突っ込みたくなるスローガンだったが、"物価高等の問題について対策する"という感じだったから政治家の方便と解釈し静観する事にした。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230926/amp/k10014206881000.html

 しかし其の後の国民の反応は素早く、内閣支持率は思いのほか早く急落した。支持率低迷の原因は法の乱造等色々言われていたが、タイミング的に"経済最優先"の強調が根に引っかかったのではないかと考える。これを少し考察する。

https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

 昨年はビッグモーター等でブラック企業の話題が沸騰した年だった。しかしコロナ禍以前のずっと前からブラック企業は蔓延していた。昔からブラック企業だらけだったから今更"経済対策する"と意気込まれてもなかなか未来に希望が持てない。

https://x.com/mikasa_zin/status/1749635661244871112?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 更に例えばコロナ禍以前の日本経済は"インバウンド"を狙った中国経済依存だったが、天井にでもぶち当たったのか今や明瞭に中国経済も急激に鈍化してきている。"後の祭り"みたいな雰囲気。中国経済依存は世界的に結構歴史が長いので、"じゃあインド"等の軽い気分で他の国に今更依存先を変えようとしてもコスパがかなり悪い。こういうのに困るから依存的過ぎる経済からは脱却した方が良いとなる。

https://x.com/masatheman/status/1749828940318023710?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://hamusoku.com/archives/10727750.html

 此の現状での経済最優先は大勢いる"もう限界"な人達を更に無駄に鞭打つ感じでなかなかディストピアな光景に見える。

https://hamusoku.com/archives/10728439.html

 経済を良くするという事は"買い手に得をさせる"という事でしか流れを作れない。ゴリ押しが流行っているような"得をした気にさせる"という詐欺的な話ではなくて実際に得をさせなければならない。好景気は其れでしか成し得ないし、物量的に困難なら一旦諦めて休憩を挟んだ方が戦略的。

https://x.com/utsurotaku710/status/1750138609821499393?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 しかしそういう意識の無い利己的な思想に凝り固まったブラック企業や転売屋みたいなのが蔓延した社会は格差を促進するばかりと考えられる。だから"厄祓い"としてもブラック企業や転売屋や詐欺師みたく明らかな経済的障壁は一刻も早く且つ念入りに殲滅した方が良いという話になる。

https://x.com/mamaaaau/status/1749777295177597129?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 支持率低迷は政府全体としてそういう部分への注力が見えない所にありそう。ブラック企業なんかは最早違法商業に狂っている。確かにお役所仕事は様々な構造的問題を抱えていて解決は困難かもしれないが、改善の兆しがバブル崩壊後全く見えない。どういった経済を目指しているんだろう。。

https://x.com/himasoraakane/status/1748197153326190977?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【追記】

 "経済最優先"したような事と言えばソーシャルゲームの課金圧が結構耳に新しい。課金圧なんてほどほどが良いくらいだが課金圧が強いゲームは多い。経済最優先の速さについてこれないユーザーも当然出てきて無茶な要望を訴え出すようにまでなる始末("差分乞食"なんて言葉が生まれていて驚いたが、差分乞食だらけの業界ってなんだか心当たりがあって耳が痛い、苦笑)。

399: id:gEp/FaNh0.net

新規は初期組と大きな格差がある←事実
新規でも楽しめる様にコンテンツを工夫する必要がある←分かる
呼び水としてある程度序盤を歩きやすくしてやるべき←そう思う
初期組に追いつける様にこれまでの分全部配布しろ←飛躍も甚だしい

https://ff15soku.2chblog.jp/archives/44116543.html

 他だとまぁどこの業界でも見られる"ゴリ押し"。例えば最近なんとか言うゲームがパクリ疑惑の話題で紛糾していた。色々追ってみた感じだとやはりパクリ疑惑で世界的に炎上していたらしい上、色々な別の問題も掘り起こされている。

https://x.com/himasoraakane/status/1749672997009637723?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/racer_kamira/status/1749676269082653023?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 とりあえず調べていればなんだかbotAIみたいなゴリ押しレビューが大量にあって鼻に付く。

https://x.com/kamzigi/status/1750091674058113528?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/zz_saba/status/1749549717770682600?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 科学業界だと剽窃だとかが問題になるレベルだから正直これを擁する人達の主張が理解出来ない。

https://x.com/4soty6zmydh4buk/status/1748121132824457712?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/tkmpkm1_mkkr/status/1749416473121243414?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/tkmpkm1_mkkr/status/1749372334593712628?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 これだけパクリ疑惑を集める企業に期待はしないが以下の記事は参考になる。

(前略)

 ゲームシステムの類似性については、上記したように実際の内容からして問題のあるものとは思えないし、法的な問題に発展しないよう、アートスタイルでも配慮が行われているのは間違いない。

 しかし、だからといってこのアートスタイルの酷似ぶりは、全く擁護できるものではない。似せている理由に、どこまでいってもポケットペアの都合しかなく、自らの利益のために他社の努力を蔑ろにする姿勢は、まったく唾棄すべきものである。

https://zousuikakka.hatenablog.com/entry/2024/01/23/004803

https://x.com/himasoraakane/status/1748977471008223576?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 他のところで炎上商法狙いの漫画家が炎上商法をしていた。やはりキャンセル側の大多数がbotAIみたいな感じだった。炎上に加担した大衆はまんまと炎上屋の手のひらの上で踊った形だ。

https://x.com/toukousinaiyo/status/1750018966037450869?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 此のようにAI様な存在に翻弄される社会は脆弱性が懸念される。"経済最優先"で簡単な仕事はAI起用が人間より優先される社会が目前の未来に迫る。

https://x.com/sukiyapotes/status/1749757556829106230?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 やはりこれからの人類はAIに出来ないスキルを磨いておくべきだろう。

https://x.com/ikariharahara/status/1750056480588607962?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/gereger31978790/status/1750014111927480500?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/arunecos/status/1747980420237623696?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【近況】

 標本商の友人から"大変稀有で貴重なミャンマー産虫個体を入手した"との事で喜びの報をもらった。私の目からしても面白そうだった。良い経済とはこういったものではなかろうかとも考えるが。。

f:id:iVene:20240124203515j:image(自身もebayでそこそこな幸運を得た。不完品が多いもののノビリスミヤマクワガタの特大個体群が、長年お世話になっている現地業者によってかなりの安価で即決出品されていたのだ。67〜68mm以上の♂は少なく普通種とはいえ変異を揃えにくい。殆ど売れ残っていたみたいだったものの今だけかもしれないと考え確保しておいた。2023年の採集分はなかなかの豊作だった様子)