【Memorandum】虫の偽造データ対処について

 偽造データの対処法というと"参照しない"が第一と考えられがちだが、実際には"虫の転売屋が売る物を避ける"が先ず第一歩。転売屋の行動原理は"金儲け"であって採集ではないから。今代において偽造データは珍しくないものの悪質である事に変わりはなく参照価値も無い。

 こういう話題は心労に絶えないため「気分が滅入るから聞きたくなかった」という人もいれば、「損をしたくなかったから最初から知っておきたかった」という人もいる。以下に実例を用いて説明する。

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 東アジアの大陸内で広く分布が見られるビタリスフタマタクワガタについて調べ直していた際、"亜種になってる分類群によっては判別法が厄介過ぎない?"と標本商の友人と話題になった。

 同分類群内には地域差なのか亜種なのか判然としない生物集団が幾つか見られる。''山地性が強い"なんて話は昔からよく聞くが、主な分布標高が1000m〜と割合低い場所らしい記録が多い。

 とはいえ問題はデータが信用ならない場合が多い事が生物現象の問題と複合してしまい分類難易度を上げてしまっている事にある。データの問題で言えば、iNaturalistで調べると懐かしい氏名が見られる。"leg. Li Jingke.(採集者:李景科)"とするようなデータでiNaturalistに記録されてある。そういえば李景科が供給したビタリスフタマタ個体群の数量は膨大だった。

http://www.inaturalist.org/observations/51053545

http://www.inaturalist.org/observations/51053622

https://www.researchgate.net/scientific-contributions/lijingke-LI-Jingke-2095688922

https://species.wikimedia.org/wiki/Jing-Ke_Li

f:id:iVene:20240112223358j:image
f:id:iVene:20240112223401j:imagef:id:iVene:20240112223656j:image(古くは黄金期、奈良の某センターの紙面中に名前を見られる。実際に李景科と取引をすると後から沢山オファーが来ていた。「高過ぎる。提示の10分の1の値段なら買ってもいいけど其れ以上の値段なら要らん」と蹴れば数週間後には10分の1の額でオファーが来ていた。買い手と売り手が逆のパターンなら聞いた話だったが、当時の世情を考えても李景科との取引は常識外れだった。まぁ、何も突っ込まなかったが。。)

f:id:iVene:20240112230353j:image("カンボジア・ラタナキリ産"ビタリスフタマタクワガタ。此の産地データのクワガタムシ等は膨大な量が売買されたが"販売元を辿る事の可能なものは全て李景科が供給源"との認識に行き着く。勿体無くも"実際に何処で採集された個体群なのか追跡可能な物証が無いために分からない"が、ラオス北部の種層に似る)

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 何年か前に某SNSで"旧石器捏造事件で考古学を破壊し有名になったゴッドハンドが虫業界で出たら事だよなあ"みたいな呟きを目にした覚えがあるが、そんな人物は昔からしっかり幾人も存在する。

 李景科はそういう意味で偽造データを考える際に外せない商売人。同人物は一人で膨大な量の昆虫死骸を世界中に売り捌いた、私や友人達の間でデータ問題を議論する際によく話題になる。李景科は既に故人だが中国とラオスにオフィスをかまえていた中国人ブローカーで、虫業界では黄金期から膨大な量のクワガタムシ等の死骸を世界中に供給した。

 しかし知らない虫屋は多い。李景科の供給した大量の虫は今代もそこらの図鑑や論文にも特に注意書き無く普通に使用される。

 私自身は色々集め始めて10年くらいだった頃に"eurofauna"なるebayが流行るより以前に流行った個人オファーが集まる交流サイトで知ってから何度か直接オーダーを出した事があった。"カンボジア・ラタナキリ産のクワガタムシ100頭で数百ドル"だったか、当時は聞きなれない産地名だったから興味を持って発注したのが最初だったと記憶している。オファーされる供給物の画像は無かったが未同定の多頭セットで1頭辺りの単価が安い事が魅力的だった。

 モノが届くと見慣れたような普通種しかなく"まぁ安いだけ希少種っぽいのは混じらない"と諦めたものだった。しかし「"カンボジア・ラタナキリ産"なのだから南ベトナムらしい種層の雰囲気があっても良いんじゃないの?」と訝しい気分はあった。発注した際は近く南ベトナムから記録されるカギツノクワガタが入っている事を期待していたからだが、ラインナップは全く南ベトナム近隣産らしさが無かった。少なくともこれまでにベトナム現地人により南ベトナムからビタリスフタマタが採集されたという話は一件も聞いた事が無い。

 同時期に分類屋の友人も同様に李景科から買っておられ、当時ビッターズ等のネットオークションや即売会でも李景科から輸入したろう虫が多数並んだ。大抵はそんなに高くないためコレクターはせっせと李景科が卸した虫を沢山買っていた。

 しかし暫くして大層珍妙な事が起こった。李景科がタイやラオスにしかいなさそうな種群のクワガタムシ個体群を"ブータン・モンガル産"としてオファーしてきたのだ。「えっ?この種群はブータンにいたっけ?」と混乱した私は更なる違和感に気付きかなり不安な気分になった。全く未同定という割に本来ブータン近辺に分布する筈の特産種が1頭も入っていなかったのだ。

 私は最早無駄な気分がして問い合わせをしようとは考えなかったが、分類屋の友人は李景科に直接問い合わせされた。李景科による返答は「"ブータン産"は自分で採集していない。嘘を吐いているとしたら採り子の方だ」だったらしい。ちなみに採集者が誰なのか分からずだった(聞いたところで無意味だろうけど)。以後も変わらず李景科は怪しいデータの虫を売り捌く商売を継続した。これでは李景科発の虫は他のデータも全て怪しくなる。見分け方が微妙な分類群はもうお手上げで分布状況の説明にも全く使えない。

 また"李景科が売り捌いた虫の中に加工されたものがある"と即売会で分類屋の友人から聞かされた。第一発見者が誰なのかは聞いたような聞かなかったような覚えもあまり無いが、ブツを観ればとりあえず顎等を曲げた加工痕跡は間違いなく自然の形では無い状態になっていたため、なるほど李景科はそういう詐欺をやった人物と科学的に理解された。

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 私は分類屋の友人と李景科のデータについて"どれが信じられ、どれが信じられないのか"色々議論したが、結局のところ"全て分からない。李景科のオフィスに近いラオス雲南省西部周辺は本当の可能性があるが概ね信用不可"の結論になってしまった。

 分類屋の友人によれば、初期の取引では怪しい感じのデータはなかったらしい、"しかしこうなると分からない"とも。標本商の友人は"李景科のデータは全く信用してない。蔓延はどうしようも無い"という感じだった。"李景科のデータが信用ならない"という話は、李景科が全盛の時代からヨーロッパ等の虫屋界隈でも知る人がいた。案外有名なのかもしれない。

 李景科による不審データ騒動を受け、"転売屋だから信用ならない"と結論づけた。"虫の転売屋"は杜撰な方法で虫を買い集めるからデータの信憑性などあったものではないとのシンプルな理解。

 実際に私が転売屋ルートを避けるようになってから、また採集者本人から入手した分を分けて考えるようになってからデータ問題で悩む事がほとほとなくなった。現象について疑わしきは罰す、そうしないと科学文明は進まないどころか後退すらしてしまうが売買する人達の意識はそこにあまり向かないらしい。

 こういうデータの問題があって今なお転売で商売する事に必死な商売人というのはもはや人として手遅れな感じもある。転売屋にデータの真実性を保証する事は科学的に絶対不可能。転売屋は採集者の成果物をそんなに観ておらず転売屋から転売するだけだからだ。だから例えば「ウチの売り物のデータは大丈夫」等と大言壮語する転売屋には何らかの不純且つ悪質な魂胆があると察せられる。

https://x.com/himasoraakane/status/1743320495511175454?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 信頼性が李景科と変わらない転売屋は別段少なくない。駄目そうな転売屋は世界中のどこにでも沢山いた。李景科を批判しながら李景科とやってる事があまり変わらない転売屋もいるくらいだったから科学的なデータの問題と考えれば李景科一人に責任を被せられない問題と考えられる。データの科学的再現性は人格ではなく自然界が保証する。転売屋万歳な人達がサイエンスを理解していないという事も解る。

https://x.com/sunoho/status/1745000020942692500?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 そういう感じで転売屋を疑問視する人達というのは虫屋よりもむしろ一般的な人達に多い。転売屋はいつも心中では庶民を見下しているだろうような態度で転売するが大抵の一般庶民はそんなに愚かではない。昔に展示会を催した際「昆虫は自然界で自分で採集するものだよね。今の時代、採集そっちのけで生き物の売り買いが流行りになっている事が信じられない」という感じの意見を仰るお客さんが結構おられた事が未だ忘れられない。

https://x.com/ikenoyuki/status/1744479901191651795?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 行動原理として私は金銭目的で虫を集めている訳ではなく科学的興味で集める。だから矜持を考えれば転売屋になる選択肢を全く理解出来ない。

https://x.com/satetu4401/status/1744902130543337944?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 もう10年くらい前の話だが、標本商の友人と電話で議論していた際、友人に「データ落ち(データの欠損の事)とか信用出来ない虫の価値ってどう思う?」と聞かれた事があり、「えっ?飾りか何かなら10円くらいじゃないですか?」と馬鹿正直に応えた。友人は抱腹絶倒な感じで笑われ「まぁデータがアレなら正当な評価ってそんなもんやんね、」とコメントされた。私は「全く無価値とは言わないけど、そりゃまぁデータが信用出来ないなら"路傍に落ちてる死んだ虫"と使用途が変わらないでしょうし?」と追い討ちをかけておいた。

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 虫の転売について、科学者の方々も一般庶民と同様の考え方をされる。転売される虫で論文が書かれる例についてある科学者の方は「新規性を標榜とする科学論文の根拠に転売される動物個体を使ってはいけないなんて決まりきっていますよね?科学分野でも生物の学名を使用するのに、分類学の業界はそんなに意識が低い雰囲気なんですか?」と驚かれた。私は「不誠実な論文を書く人達も少なくないです。しかしどうしても不足する分を博物館の所蔵物、あるいは物量の問題で原産地で採集した人・原産地から輸入した人から買った個体群を論文に使う事もあります」と説明した。科学者の方は気難しい感じで「ん〜、まぁ詳細が暗転したような転売等の手順を通さないなら"責任を取る姿勢がある"として最低限一応の筋を通す事にはなりますが、例えば転売屋から転売された動物だと自然界から採集された経緯までマトモに辿る事が出来なくなりますよね。そうなると誤データで誤同定などが生じて考察が不純になる。データのみならず考察が不正や嘘かもしれず生物学的な真偽判断も出来ない。実験科学的には真偽不明と考えられるものを論文の根拠として使用してはならないのは基本ですからねぇ。。分類学の業界がどういう雰囲気なのか私の専門ではないので直接はよく知りませんが、将来的にはそういう"ルイセンコ主義的な論文が普通に沢山生産される業界"という評価が一般的になるのではないでしょうか」と締めくくられた。

 偽造データが駄目、転売屋がよろしくない等は一般常識的である。

https://x.com/suwazo/status/1745956000585367655?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【Rreference】

Didier, R., 1925. Description d’un Lucanide nouveau. Bulletin De La Société Entomologique De France 1925:202-205.

【追記】

 はて謹賀新年。とはいえ元日から日本の北陸で厄災に見舞われた地域があって気難しい。航空機の事件等はあまりにもショッキングだった。。厄祓いの年とすべきかもしれない。

https://x.com/circlecirclekun/status/1742111215101636936?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

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 2024年元日は丑の刻以外は大凶の色もあった日だから以前から嫌な予感はしていた。科学的に肯定されるものではないが、占術における六曜というのは結構馬鹿に出来ないもので人々の意識を引き締めるメリットは考えられる。

https://x.com/7znv478zu8tnswj/status/1744166310396002587?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 自然信仰のある者を嫌ったり六曜をわざわざ誹る者に不幸が集まるのは、科学的に考えても意識的な傾向として顕れる事はまぁ有り得なくはない。しかし大凶を含む日に吉祥を打ち消すレベルの大きな自然災害が起こってしまうとは全く予想していなかった。

 科学というものは別に神の存在を否定していない。神がいない事を証明出来ないから。同様に神が存在する事を証明出来ないから肯定もしていない。同様に占術を肯定する科学もないが、別に否定する科学も無い。昨年2023年はどうだったろうか、日本国内の人類社会も政治界隈を含めてかなり荒れていた覚えがある。"六曜"への信仰はどれくらい信頼性があるのかは不明だが、常に意識して考えておくくらいには案外外れている訳ではないのかもしれない。

https://x.com/kumakuma072119/status/1744506761019802038?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

【Memorandum】普通種で生物種の実在性を考える

 "普通種"というのは沢山の個体数を観測しやすい。此の状況のメリットが何かというと、特定の生物集団について"集団内の連続的な変異幅"を理解し易くなる事が挙げられる。普通種の変異幅の出方を知っておけば、認知されにくい希少種の変異幅も少数個体からある程度逆算可能な事もある。

f:id:iVene:20231231115235j:image(オーベルチュールクロツヤシカクワガタはベトナム北部で局所的に分布が見られる美麗なる普通種。手元にある最大は58.0mmのWF1♂個体。飼育下では55mm以上が出やすい一方、野生下では55mm以上には滅多にならない。野外個体のサイズ傾向については標本商の友人も同様の見解との事だった)

f:id:iVene:20231231115241j:image(野生下で希少な大型♂はWF1で数頭補ったが、其れ以外は全て野外個体。ベトナム・ハザンから適当でも70頭程度集まり、お陰でどういった変異がどれくらいの頻度で出現するのか理解し易くなった。しかし採集法が解る迄は"大変な希少種"の扱いだった)

 分類屋の友人は初めて新種記載された際、採集された個体群の100頭単位で交尾器の比較を行われ、其れで"種内の変異がどの程度のものか"なんとなく掴む事が出来たのだそう。

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 2024年の干支は辰年。辰とは龍、12ある干支の中で唯一の空想生物。龍が架空生物・空想生物である事は世界中で常識的に知られてきた。

https://happy-card.jp/ne/oshiete/history/3798.html

 "空想生物がどう空想であると理解されるか"、"科学的に実在する生物分類群と空想生物が一般的にどのように判別されているか"、明確に理解しておく事も一つ生物分類に必要な認識と考えられる。辰年の干支はそういう意味で一考の良い機会。

https://tabi-labo.com/303237/wdt-loch-ness-monster

架空生物

 実際には存在しない想像上の生物のこと。

https://dic.pixiv.net/a/%E6%9E%B6%E7%A9%BA%E7%94%9F%E7%89%A9

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 科学的に何かを考察する場合、論理的思考に加え批判的思考も必須になってくる。批判的思考がどれくらい出来ているかで、考察の正確さ・再現性も変わってくる。

https://x.com/yfuruse/status/1739839239746113999?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 「クリティカル・シンキング」とは「ものごとを批判的に考え、判断する」ことです。論理的に考えるための手法以外にも、「批判的精神(クリティカル・マインド)」が含まれているのです。「自分の考えを常に疑う姿勢」と言ってもよいかもしれません。
 例えば、「自分に都合のよいロジックを組んでいないか?」「自分の考えを誰かに伝えた際、相手の反論をあらかじめ考えているか?」「その情報は本当に正しいのか?」「事実と意見、目的と手段などをわけて考えているか?」といった問いを自らに投げかけ、常に自分の考えに対して懐疑的であるというマインドも「クリティカル・シンキング」には含まれます。
https://mba.globis.ac.jp/knowledge/detail-21114.html

 今の時代、生物を分類するには遺伝学を理解しておく必要があるが、結果的に理解せずに分類しているとしか考えられない論文が沢山出てくる。多数ある分類の混乱は、結局のところ分類をやる人達のマインドに原因があると理解される。同様に分類以外の情報混乱も。

https://x.com/yuruhuwa_kdenpa/status/1739663388198985925?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 批判的思考は専門性のバイアスで歪みやすく、一般庶民の方が得意という場合もある。であるので、私の場合だとバイアスが無さそうな人達と議論したり意見を求める事が多い。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E5%89%B0%E9%81%A9%E5%90%88

【追記】

 議論というものをする際、論者が科学的か非科学的かで議論の進み方が大きく変わる。

 例えばある科学者の方々の話では、"地球は6千年前に神によって創造された"と宣うインテリジェント・デザイン論一派の信奉者らとの議論では決して意見が合わないのだそう。

https://gendai.media/articles/-/115831?page=1&imp=0

 確かに46億年前を経験した現代人なんて存在しない。しかし古生物の化石は何故あるのかと問うても、ID論者は「それも全て聖書にある神が創りたもうた物だ」と言って、6千年前よりも前の地球史を受け入れなかったそうだ。

 ID論者の信じる対象は聖書で、其れに沿った科学しか認めないという思想意識が彼らの思考を支配している。いわゆる"教条主義"の一端で、聖書の教えに反する考え方は科学的な根拠があっても認めないらしい。

 だから科学的な議論でそういう人達を説得しようとするのは無意味なのだそうな。

【Memorandum】 "Figulus trilobus Westwood, 1838"はNigidius属なのか

 オーストラリア産Figulusの不足分を補充していた頃、見慣れない個体群があったから調べてみると其れ等は"Figulus trilobus Westwood, 1838:トリロブスチビクワガタ"であるらしいと知った。希少性は不明瞭だが普通種ではなさそう。

 当時、分類屋の友人に意見を求めると"持っていない"との事だったのでとりあえず有るだけ調達する事にした。代理で入手した分を友人に手渡し、自身の分は暫く放置していると、友人から「これはNigidius属かもしれない!交尾器もNigidius属の雰囲気に似る」とやや興奮した様子で連絡をいただいた。友人はNigidius属を好んでよく調べてられる。

f:id:iVene:20231219212340j:image("F. trilobus"、雌雄差は殆ど見られない)

 "Figulus trilobus"の大顎はNigidiusらしくなくFigulusに見えるものの、手元の個体群を調べてみると確かに大顎以外の体型(前胸、上翅表面構造等)や交尾器はNigidiusによく似る。Genus Nigidius Macleay, 1819:ツノヒョウタンクワガタ属というと大顎外縁から湾曲しつつ突出する"ツノ状突起"が特徴的であるから体型の違いは印象から抜けやすい。そもそもFigulus属とNigidius属は近縁で触角の発達は殆ど変わらない。

 しかしオーストラリア大陸Nigidius属とは、と自身も友人の考察結果を聞いてどうにも高揚した気分だった。

 アフリカやアジアで繁栄するグループが、いつどうやってオーストラリアに辿り着いたのか。Figulus属はオセアニアでは広く分布が見られるがNigidius属は他に全く記録が無い。オーストラリア大陸東部で孤立したような分布をする小型種とは面白い。

 あるいは一般的に知られるNigidius属種群とは別に遠縁のチビクワガタ属系統から収斂してNigidiusと似るよう変化した可能性もあり得るか。しかし其れなら外形だけでなく交尾器もNigidius属にそっくりというのはどうなのか、此の仮説はにわかに信じがたい。

 結構な高確率で考えられるのはインド亜大陸オーストラリア大陸が繋がっていた時代に侵入した1系統が今まで生存していた可能性。そう考える根拠は"Figulus trilobus"の大顎の発達が乏しい事。Figulus属から派生して間もない系統とすればかなり古い時代の分岐と考えられるし、其のくらい古い分岐でないと整合性がつきにくくなる。"F. trilobus"がNigidius属の直接の祖先系統に近くとも、アフリカ〜アジアのNigidius属系統群から派生したものではない可能性も高くありうる。ともすればいくらNigidius属の祖先でも遺伝子系統樹だとFigulus属に近くなるのかもしれず、遺伝子系統樹は此の分類にはあまり正確な考察には使えないかもしれない(近縁種が殆ど絶滅していて系統関係を調べるために必要なデータが多く不足する可能性)。

 "F. trilobus"の自然生息地には他にも原始的なクワガタムシ科分類群が多数見られ、同地で比較的安定した自然環境がどれくらい長い期間続いてきたかなんとなく解る。此れは面白い考察になる。やはりクワガタムシ科の進化・分化は類推でも壮大なロマンがある。

【References】

Westwood, J. O., 1838. Lucanidarum novarum exoticarum descriptiones, cum monographia generum Nigidii et Figuli. The Entomological Magazine, 5, 259 - 268.

Monte, Cinzia, Zilioli, Michele, Bartolozzi, Luca, 2016. Revision of the Australian species of Figulus MacLeay, 1819 (Coleoptera: Lucanidae). Zootaxa 4189 (3)

MacLeay, W. S., 1819. Horae entomologicae: or essays on the annulose animals. S.Bagster. London Vol.1 Part 1:1-160.

【追記】

 分類学というと区分:グルーピングが必須の作業になる。とするとベン図が結構便利で、種概念の階層を考える時も頭の中でベン図を描き区分ごとに分類を考えるイメージを構築すると作業が効率的だったりする。

 生物学的な遺伝子機能の機序を考えるにも命名規約の論理読解をするにも数学的な"集合"の考え方は必須であるため此れもベン図を使うと効率的に考察出来るようになる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E5%90%88

 とりあえずでも区分の図を描いてみると誤解している部分なんかは違和感のある絵として浮かび上がりやすいから誤解の修正にも役立つ。

https://x.com/che_syoung/status/1734925884677833134?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/dirg_rocketdyne/status/1733549354164834691?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 私がベン図を利用し始めたのは確か高校生だった頃、数学で"虚数"と"実数"の違いが分からず、当時大学に通っていた先輩にベン図で説明してもらい簡単に理解出来る事を知ってからだった。"こりゃあ便利"と何にでも応用していくようになった。

https://x.com/keyneqq/status/847060746076774401?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 データの信頼性考察についても実は応用が効く。採集家のデータは実数的、転売屋のデータは虚数的、なんていう風に。

https://sp.m.jiji.com/amp/article/show/2973044

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/maneron/manetop.htm

https://jp.quora.com/%E6%8D%95%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AE%E8%A9%90%E6%AC%BA%E5%B8%AB-%E3%81%AE%E3%81%82%E3%81%A0%E5%90%8D-%E3%81%AF%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%B3%E8%A5%BF%E9%87%8E

f:id:iVene:20231219223903j:image(虫業界の有り様について議論中、標本商の友人は時折痛烈な皮肉を仰る。いやあ其の胸懐には同感でしかない。転売屋など山師とどう違うのか)

【Memorandum】ミャンマー北部カチン州産ボレルノコ似Prosopocoilus?不明種個体について

 インド東部アッサムから記載されたProsopocoilus (Kirchnerius) boreli (Boileau,1904):ボレルノコギリクワガタは希少種と知られ、インド東部ナガランド、ミャンマー北部に局在的な分布、またインド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州とチベットで多産地が知られる。

 しかしインド・アッサム産、インド・ナガランド産、またミャンマー北部産は異常なまでに希少らしく、標本商の友人曰く「ミャンマー産は10年以上通って数頭」なのだそうだった。ミャンマー産は昔から各現地ルートから1頭ずつは見られており"自然界に生物としての存在"について最初は半信半疑だったが、現地での発見例数が増えるごとに確実性を増した。インド・アッサム産に至っては分類屋の友人が10数年やりとりされた現地ルートから2♂のみだった程だそう。

 アッサム産P. boreliについては資料として新しい個体群の調達が絶望的で殆ど諦めるしかないが、ミャンマー北部カチン州産については偶然にも不明種扱いで入手する機会があり、標本商の友人に見てもらっても間違いないそうだった。

 ただしミャンマー北部産は変わった雰囲気をしていて同じ分類群ではないかもしれない。

f:id:iVene:20231208095922j:image

 アルナーチャル・プラデーシュ州産やチベット産とは勿論だったが、とりあえず気になったのはインド・アッサム産との差異。分類屋の友人に実物を比較観察させてもらうと、顕微鏡下でもかなりの差異があるように見えた。背面の点刻の粗さ・脚の太さがかなり異なり、交尾器も大きめ。標本商の友人に見せてもらった写真を参照してもミャンマー北部カチン産は安定するような感じだった。分類屋の友人はミャンマー産を持たれておらず、双方新しい見聞を得る事が出来た。

 ただし交尾器の考察は難しく結構変異幅が広い。また形態差の割に個体数が少な過ぎるため、分類の結論を出すには未だ不足が多いと考えた。現地情勢や希少性を考えると、確かな結論が出るのは未だかなり先の事のように考えられる。

【Reference】

Boileau, H., 1904. Description de Coléoptères nouveaux. Le Naturaliste 26:284-285.

【追記】

 国庫等から予算をもらう"研究"はじめ金銭的な事が関わりやすい話はいつも研究不正なんかの"詐欺"にならないよう細心の注意を払っていなければならない。しかし其の辺りの法的意識や科学的意識で文明レベルが低いままの業界は存在するため記しておく。

https://x.com/nalltama/status/1730437271000953026?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/v69o6il62amijju/status/1724406628626366542?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 悪事を企む人達が手に染めやすい犯罪はバレにくい"詐欺"。一線を越えた人達は、いつ訴えられて捕まっても不思議ではない状態。"エセ科学で商売"なんかは詐欺が成立する事例が多い。

https://x.com/pkanzug/status/1732628588128801238?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 友人達には危険な商売をやる人達の存在について"自身は関わらないようにしている"としつつ、忠告もしてきているが業界の現状は友人達の功績や立場を考えると気の毒な状況とも思う。。

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 生物関連で商売をするのは結構なリスクがある。件のSTAP事件も詐欺的な事が行われ本来なら逮捕者が出て不思議はない事件だったが、殆どの責任者が逃げるようにそそくさと雲散霧消してしまい、また"細胞の摺り替えがあったとしても其れだと犯人が分からない"状態であったため逮捕者が出ずリカバリーが普通に行えない状態になってしまった。

 此の状況は見かけ上"STAP事件責任者らを恰も無責任なまま赦したかのよう"にも見えるが、実際はそうではなくSTAP事件を起こすような組織体制、またトップクラスですら当時見られた生物科学業界のコンプライアンス意識の低さが露呈するものであったため、事務手続きの厳正化等として業界全体に連帯責任があるかのような対応を余儀なくされる形になった。

https://www.mc-law.jp/mc_soudan/17055/

(ある意味では"文明レベルを上げる事になった"事件ではあったが。。)

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 学術用語を利用するなら科学的センスは必須だが、商売をするなら其の前にコンプライアンス意識を固めておく必要がある。其れを理解しておく為には先ず"詐欺罪"を知っておかねばならない。

 「詐欺罪」とは、人を欺いて財物や財産上不法の利益を得る行為などに成立する犯罪です。財物を交付させる類型は「1項詐欺罪」、財産上不法の利益を自ら得るまたは他人に得させる類型は「2項詐欺罪(詐欺利得罪)」と呼ばれます。

 詐欺罪の構成要件は、
① 人を欺く行為(欺罔行為)
② 被害者の錯誤
③ 被害者による交付行為
④ 財物または財産上の利益の移転
の4つであり、これらの間に一連の因果関係が存在することが必要です。一連の因果関係が認められない場合は、詐欺未遂罪が成立するにとどまります。
 詐欺罪は、同じく財産犯である「窃盗罪」や「横領罪」と比較されることもよくあります。
 企業が関与する詐欺罪の例としては、以下のパターンなどが挙げられます。
・代金を払う気がないのに商品を発注した
・欠陥品であることを隠して商品を売った
・倒産状態であることを隠して融資を受けた
 これらの詐欺被害に遭った起業は、刑事告訴や契約の解除・損害賠償請求などを行いましょう。
この記事では詐欺罪について、窃盗罪や横領罪との違い・構成要件・被害に遭った企業の対処法などを解説します。
https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/sagizai/

 詐欺というのはシンプルに言えば"嘘で利益を得る事"。

https://togetter.com/li/2265104

 虫業界で言えば"研究不正に該当する手法(※論文上に記述の証拠が残る場合等)で生物の分類群をでっちあげタイプ個体として付加価値を付けて売り捌く"等が綺麗に詐欺の要件を満たす。私の知る科学者の方々に聞いても皆「そりゃあ完全に詐欺だ」と仰る。

 "過失による詐欺の場合は?"という状況に対しても法律は決まっていて、シンプルな答えとしては"詐欺罪への過失の適用は無く減刑は無い"。

https://x.com/satetu4401/status/1732177062658711567?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 一般的に知られる常識的な話であるが"過失なだけ"なら詐欺の犯罪にはならない。だから例えば某SNSで明らかに非科学的な珍説を披露している人間を見かけても私は軽く流して放逐する。他の業界だと即突っ込みが入るのは少し羨ましい。。

https://x.com/himasoraakane/status/1733054625044148336?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 しかし争点は"詐欺行為をやろうとしたかどうか"で、過失でも詐欺をやろうとしたなら其れは詐欺罪や詐欺未遂罪の要件を満たす。だから普通の一般的な人達は最初から詐欺にならないよう注意して生活費を稼ぐ。

https://x.com/maimai0049/status/1731690899103518980?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 刑法は、過失犯を処罰することを定めた犯罪を除き、犯罪の成立には罪を犯す意思(故意)を必要としています。そして、詐欺罪や窃盗罪に過失犯を処罰する規定はありません。そのため、知らずに関与していた場合、知らなかったことの内容によっては、故意が認められないものとして処罰されないことになります。
 ただし、最高裁判決の中には、特殊詐欺の被害品運搬役について、「詐欺に当たる可能性がある」との認識があった場合に故意を認めたものがあります。そのため、詐欺に関与していることを確信するまでに至っていなくても、有罪とされる可能性は十分にあります。また、仮に詐欺であることを知らなかったのが真実であり、そう話しているとしても、裁判所は、被疑者の話の内容(客観的な事情と一致しているか、不自然でないか等)、客観的事情(犯行に関与することになった経緯、関与行為の内容等)も考慮して故意の有無を判断するため、被疑者の話は信用できないとして、故意があると判断してしまう可能性もあります。そのため、早期に弁護士に依頼することは、信用されないような不利な調書を取られることを防ぐ、事故の言い分を裏付ける証拠を早い段階から集めることが期待できる点で、望ましいものであると考えられます。
https://www.lawyer-okamoto.com/kagaisya/kagaisya2/

1、故意とは
 刑法における「故意」とは、刑事事件においては非常に重要な概念です。また、刑法上の「故意」を理解するにあたっては、「過失」の意味も理解しておく必要があります。
 この章では、刑法上の故意と過失について解説します。
(1)故意と過失の言葉の意味
「故意」とは「わざとすること、またはその気持ち」、故意の対義語である「過失」は、「不注意などによって生じたしくじり、過ち」を意味します。日常生活の中で使われる場合、故意は「わざと」「意図的に」、過失は「うっかり」といった意味をもつことが多いでしょう。
 では、刑法においてはどのような意味合いを持つのでしょうか。
(2)刑法における故意と過失
 刑法上の「故意」とは、犯罪事実の認識・認容と定義されるのが一般的です。わかりやすく言い換えれば、犯罪を構成する自らの行為を認識し、それをよしとする(認容する)ことを指します。
 また、故意には「確定的故意」と「未必の故意」の2つの考え方があります。犯罪結果を確実に予測している場合が確定的故意、確実ではなくてもその可能性を認容している場合は未必の故意として、故意が認定されます。
 一方、過失とは、注意義務に違反する状態、いわゆる不注意と言えます。
 ここで言う注意義務とは、結果の予見可能性を前提として、結果を回避すべき適切な対応をとらなかった回避義務を怠ったことを指します。
https://keiji.vbest.jp/columns/g_other/4919/

 金銭が関わる以上、利益を集める人達は常識的に知っておかなければならない事であり、知る知らない関係なく詐欺は法的にも倫理的にも許されない。詐欺は未遂だったとしても罪になるのは少なくとも"未必の故意"はあるからだ。

 詐欺未遂罪とは、お金などの財産を交付させようとして人をだまそうとしたものの、だましとることに失敗した場合に成立する犯罪です。
https://atombengo.com/column/33713

 "未必の故意で不当に利益を上げようとした"と解る言動は詐欺の証拠になる。だから私は"一線を越えたと認定した人達"とは関わりを持たないようにしている。ありとあらゆる意味でリスクがあり過ぎるから。通常の企業なら「危ない商売人と関わらないように」研修で義務づけられる。場合によっては懲戒免職や更迭、引責辞任もありうる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E7%8F%8A%E7%91%9A%E8%A8%98%E4%BA%8B%E6%8D%8F%E9%80%A0%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 "詐欺"の意味を知らずに、"詐欺"の言葉を使っている人達を結構見かける。特に"転売の正当化"に必死な人達に。大抵の場合に"未必の故意"について思考されていない事がよく解る。ゆめゆめ油断せず知っておくべきと考える。

【Memorandum】ニセカスタノプテルス?Neolucanus属不明種個体について

 ベトナムクワガタムシ科で最も謎が深いものの一つに"ニセカスタノプテルスマルバネクワガタ"がある。既知種の何であるか未記載の分類群であるか不明瞭な事情もあるが、其れだけでなく希少性の謎が深い。

f:id:iVene:20231205082922j:image("タムダオ産"マルバネクワガタ属不明種。故・西山保典氏のルートで大量にベトナム産クワガタを集めていた頃の1♀個体。擦れが気になるが大まかな外形でも同定が困難だった。交尾器形態はビキヌスマルバネに似るが、どちらかというとカスタノプテルスと一致率が高い。頭部が小さい比率。消去法で"ニセカスタノプテルス"と呼称される不明種かもしれないと考えた)

 上記の個体について補足説明として、標本商の友人によれば西山氏ルートのデータは不安があるらしかった。私自身20年程前に西山氏宅にお邪魔させていただいて色々見せてもらった事を思い出し「ベトナム産について致命的なコンタミの痕跡は無さそうだったけど?」とコメントしたが、それでも友人は難しい気分らしかった。曰く「ベトナム北部産なのは間違いないだろうけど"タムダオ産"というのは疑問」。実際"ニセカスタノプテルス"はタムダオからは未記録。

 西山氏によるベトナム産甲虫死骸群の管理法は独特だった。袋に液体を入れ、其の中にギッシリと死骸が詰められていた所謂"佃煮的な状態"。中身を観る際は袋の端を切り、プラスチックケースに個体群を移す。私は此れで未記載種を見つけたという事もあった。

、、、、、

 他産地のカスタノプテルスマルバネクワガタは生物種として面白い分布の仕方をしているらしい。しかしベトナムの此れはebayでも全く出品された事が無い。何が原因で発見されないのか、友人達が持たれる個体も1頭ずつ程度という希少性。

 自身で観た個体数は10頭に満たないが、頭部が小さい比率で特異的な感じだった。

【Reference】

Fujita, H., 2010. The lucanid beetles of the world Mushi-sha’s Iconographic series of Insect 6.472pp., 248pls. Mushi-sha, Tokyo.

【追記】

 分類学は停滞する研究が多い。科学論文の基本的な作法を知っていればなんとなく原因が解る。

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 一方でAI技術は目覚ましい進歩が見られる。所謂"シンギュラリティ問題"は過去に予想された通りにはならないと考えられるが、簡単に出来る表現上の作業は大部分がAIに仕事を取られ、AIにサポート可能な作業もかなり簡略化するため"今高能力と評価される人材"は将来的に急速に普遍化すると予想される。

https://itainews.com/archives/2030871.html

 シンギュラリティの真の問題に気付く機会は2010年頃からあった。"インターネット世論が政治を動かすようになってきた大きな機転"が目立つようになりだしたから。だから今さら慌てふためく人達が沢山見られるが、其れは何か違うような気がする。。

https://x.com/info_pw/status/1729266250113863944?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%96%E9%96%A3%E8%AB%B8%E5%B3%B6%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%BC%81%E8%88%B9%E8%A1%9D%E7%AA%81%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 インターネット世論はbotAIと判別が難しい不正なものが多いとは容易に理解される。しかし其のbotAIの行う表現と、マスメディアや論文等の人間が描く表現で特に違いが分からない事が増えてきた。

https://x.com/himasoraakane/status/1731596148073455708?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 つまり簡単な真似っこ、知ったかぶりなんかはAIには簡単に模倣出来るようになると予想される。それなら其の程度の能力しかない人材はAIに需要を奪われると理解できる。

https://x.com/satetu4401/status/1730391595000946857?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 AIの進歩は目覚ましく、また其の流れは止まらない。これからの人々は"AIに出来ないスキル"を磨いていく必要があると考える。

https://www.vieureka.com/blog/blog-1540/

 私なんかは此の問題に早い段階で気付いていたから、もう20年近く前から対策してきており、今も対策を考える。感触としては、実際にAIには絶対に出来ないし尚且つ殆ど全ての一般庶民に真似出来ない仕事に高級な需要が増えつつある。

【Memorandum】Odontolabis属不明種個体の議論

 仏国の通販サイトで"O. leuthneri"として売られていた虫個体があった。しかしなんだか妙な雰囲気の見た目をしていた事と即決2千円くらいと安価だったので発注してみる事にした。

f:id:iVene:20231122203006j:image(不明種♂個体は体長54.9mm。見慣れない雰囲気)

 実物が届くと、やはりOdontolabis leuthneri Boileau, 1897:リュートネルツヤクワガタとは異なる雰囲気がある。エリトラは黒いが光沢が強く頭部と前胸背は点刻が粗い。

f:id:iVene:20231123073355j:image(基部内歯は普遍的なO. leuthneriと比べて基部寄り。頭部と前胸背の点刻も比較的はっきりと粗い)

 準大歯の型で大顎基部突起の出方もなんだか特異的な雰囲気。産地は"インドネシア・ボルネオ北部クロッカー山脈"で2004年の採集なのだそうだ。データの問題をクリアしきれない個体だったが見慣れない型をしているため考察を続けてみる。

f:id:iVene:20231123074204j:imageインドネシアボルネオ島北部に分布するO. leuthneriは普通種としてよく知られる)

 O. leuthneriに酷似する別の分類群が幾つかあり、もしかすると其れなのかもしれない。分類屋の友人に聞いてみると、やはり其の可能性が高いという話だった。"Odontolabis datukpauli Schenk, 2002"や"Odontolabis benmartinii Schenk, 2012"。

https://fanblogs.jp/anotherstagbeetlesofworld/archive/378/0

 しかし其れ等についても過去に分類屋の友人から"Odontolabis brunneus Nagel,1926のシノニムかもしれない"という話を教えてもらっていた。情報源は以下のblog記事主だそうだった。なるほど記事中では大幅なフェーズスキップ的手法が気になるが外形分類で一つにまとめられている。

https://fanblogs.jp/anotherstagbeetlesofworld/archive/569/0

 ただ其れだとしても黒化型で準大歯以上の♂というのは今回の個体が初めて見知る感じになる。

 以前まで私自身は長らく実物の入手を出来ておらず、また満足な観察も出来ていなかったため、O. leuthneriとの関係が別種であるのか別亜種なのか、はたまた単なる変異なのか確定させられなかった。図を見ても大変よく似る。

 "O. datukpauli"は"クロッカー山脈南方"を、"O. benmartinii"は"クロッカー山脈"、"O. brunneus"は"サラワク・ムルド山 6500フィート"が基産地とされる。此の地方一帯は特殊な生物層がクワガタムシ科群からも見られ、種層が共通していそうな地理的範囲がある感じもする。

 しかしサラワクの近い場所からはO. leuthneriの外形に一致する個体がiNaturalistで記録される。という事は"地域変異"という可能性も出てくるが、どうなのか(詳しい棲み分けが不明瞭ゆえに結果を確定させるには不十分)。

http://www.inaturalist.org/observations/50921405

、、、、、

 今回の不明個体に似たものとして、分類屋の友人がエリトラが赤褐色型のものと黒化型を含んだ数頭のボルネオ北部シピタン産の短歯型♂および♀を持たれていたので、今回の準大歯型♂個体を持ち寄り比較観察させていただいた。なるほど外形は大顎以外でよく似る。

 中脚ケイ節の体毛にも少々特徴があるようにも見えた。ツヤクワガタ属の交尾器形態は変異が幅広く判別が困難な種が多いが、O. leuthneriとは比率に差異がある感じの観察結果が得られた。現状では一致するものが見られない。

 分布状況については確たる記録が殆ど無く、観察個体数が少ないため議論の余地が広く残される。現状では交尾器形態から"別種関係の可能性がある"との理解に留めた。

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 "O. brunneus"の原記載では体長63mm程度(大顎以外47.5mm、大顎16mm)の1♂個体を元にO. leuthneriの型として記載され、スケッチが示されるものの記述中判別法については"エリトラが濃い栗色"などが説明される。1926年の原記載では「タイプ個体はSarawak Museumにある」とされる。今後の観察法次第では分類が解るかもしれない。原産国での研究進展に期待したい。

f:id:iVene:20231122203638j:image


f:id:iVene:20231122203658j:image

f:id:iVene:20231122203654j:image

(「Nagel, P., 1926. On a collection of stag beetles from Sarawak: Sarawak Museum Journal (1927) 3:293-302」より引用。顎形態の描写では鋸歯状内歯列の状態が特異的で、記述中でも「大顎は半円形で、基部付近の内縁にとても小さな突起として少し肥厚がある。内縁は中央から先端にかけて7〜8個の小歯で鋸歯状になり...」と説明される。原記載の説明だと確かに"O. brunneus"は、"O. datukpauli"・"O. benmartinii"と近い)

【References】

Boileau, H., 1897. Description d’un Lucanide nouveau. Le Naturaliste 11:247-248.

Nagel, P., 1926. On a collection of stag beetles from Sarawak: Sarawak Museum Journal (1927) 3:293-302

Nagel, P., 1928. Neues über Hirschkäfer (Part II - Fortsetzung und Schluss). Entomologische Blätter 24(1):1-5.

Schenk, K. D., 2002. Beitrag zur Kenntnis der Hirschkäfer Asiens. Facetta 21:4-16.

Schenk, K. D., 2012. Taxonomical notes to the family Lucanidae. Beetles World 6:9-15.

Fujita, H., 2010. The lucanid beetles of the world Mushi-sha’s Iconographic series of Insect 6.472pp., 248pls. Mushi-sha, Tokyo.

【追記】

 科学的再現性が客観的にどう評価されているか、一般的には曖昧で分からないという人達が多い。

 一般庶民にとって、疑似科学と科学の判別が困難な領域は確かに存在していて、其れが元で疑似科学を"科学"と取り違えて失敗し"科学を嫌うようになる"人達もいる。学術業界がルイセンコ学説を長らく支持するような時代があった手痛い"黒歴史"を考えれば無理もない話ではあるが。。

 今に近い話だと、例えばノーベル賞が権威的で信頼を集めているから、権威的な政治活動をしている人達の話は信頼性があると誤解されがちな状況が見られる。"ノーベル賞の権威性"は研究結果そのものに信頼性があるというものだが、マスメディア等では受賞者達の人間性や生い立ちばかり報道する政治的光景がよく見られる(対人論証的なミスリードと考えられる)。

 件のSTAP事件などは情緒的な人達が存在性を支持するという事もあった。"STAP細胞"研究の責任者らが何だか可哀想な感じになってしまっていたからというのもあるかもしれない。

 しかし情緒的な考えで疑似科学や研究不正の続行を正当化され、更には巨額の税金を予算に投入し続けるのかというと其れは"国民に対しての裏切り行為"と言わなくてはならない状況にもなる。

https://x.com/norinori1968/status/1724750417131958678?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

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 "疑似相関と因果関係を勘違いしやすい事を注意すべし"という注意喚起も生物科学分野だと一般化しつつあるが、"そう注意して考える理由と其の主張の軸"が分かっていないままの事が多い。一般的に飛び交う生物学的な話は他者の受売りや見様見真似であるため、雑多な注意喚起の中にも骨組みが無い場合がたくさんありうる。一般庶民にとって、調べるには高額な機器や薬品を要する"分子レベルの生物現象に関連する話"について真偽を考える事は大変荷が重い。

 例えば"ネアンデルタール人とヒトの間には遺伝子上に種の隔離がある"みたいな論文が各所から多数出て其の風説が一時的に支配的な世の中になっても、ノーベル賞を受賞する研究に"交雑して複数世代累代した結果が現代人の遺伝子を証拠として何度でも見られる"とひっくり返され否定される歴史が残る事になった。

 "STAP細胞"の有無は時間をかけて"無い"という評価が一般的になり、一方でiPS細胞の汎用性に対しては長らく疑念を持たれない。この分水嶺が何処にあるのかというと、科学的とはいえ哲学的な考え方で見出される。数学的な、統計学的な手法として"無限回数の試行"で確率が集中する結果の値が信頼性を帯びるという評価法(同じ方法を何度も試して同じ結果にどう確率が集約するかどうか)。

https://bellcurve.jp/statistics/course/8539.html

https://www.aje.com/jp/arc/why-is-replication-in-research-important/

 再現性評価について、試行法が不純であれば、純粋な試行法で得られた結果と数値がズレる事が多々ある。科学実験のつもりが無い試行なら大して問題ではないが、其れで原著論文を書こうとする行為は疑似科学どころか反科学に近い事になりうる。其のため実験科学では個々の実験で"手順の順序が持つ意味"が重視される。

https://synodos.jp/opinion/science/13786/

 STAP事件で芋づる式に見つかった不正な疑似科学群は、利益相反のある手法を取り入れた。しかし権威的な看板に守られ、STAP細胞同様に分子レベルであまり観察されないミクロな生物現象であったため科学者らの間でも気づかれない事が多かった。だから社会問題になってから一挙して貯まっていた不正が浮き彫りになった形となった。

https://president.jp/articles/amp/12470?page=1

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 疑似科学で商売をする団体は、転売屋集団、カルト宗教や昨今流行りの"ポリコレ"等でもよく見られる。様々な歴史を乗り越えた今の時代に錯誤的なものが。

 党派性、対人論証に教条主義権威主義、こういうものの政治的ゴリ押しはどこかで見た事があると思っていた。過去の中国で見られた"文化大革命"的なプロセス。

f:id:iVene:20231123071221j:image(漫画作品「葬送のフリーレン」より引用。此の作中で説明される"魔族"の生態は人間の中にも見られる。カタルシス、自浄の無い商売をする人達等に)

https://x.com/marukwamy/status/1725715080611086601?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/bowwowolf/status/1726220069594923119?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://x.com/bowwowolf/status/1726219711908913618?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

https://m.youtube.com/watch?v=3oAmgOyreA0

https://m.youtube.com/watch?v=ZFBzSjcM1ec

文化大革命
 文化大革命(ぶんかだいかくめい)とは、中華人民共和国で1966年から1976年まで続き、1977年に終結宣言がなされた、中国共産党中央委員会主席毛沢東主導による「文化改革運動」を装った劉少奇からの奪権運動、政治闘争である。全称は無産階級文化大革命簡体字: 无产阶级文化大革命繁体字: 無產階級文化大革命プロレタリア文化大革命)、略称は文革(ぶんかく)。「造反有理」(謀反には道理がある)を叫ぶ紅衛兵に始まり、中国共産党指導層の相次ぐ失脚、毛沢東絶対化という一連によって、中国社会は激しく荒れ乱れ、現代中国の政治・社会に大きな禍根を残して挫折した。
目的
 毛沢東劉少奇からの奪権、及び復権をするための大規模な権力闘争。毛沢東自らの権力を固めるために仕掛けた大衆運動。
結果
 毛沢東の死去により終結。多数の人命が失われ、中国国内の主要な伝統文化の破壊と経済活動および学術活動の長期停滞をもたらした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD

【Memorandum】 Digonophorus属分類の有効性について

 ヒマラヤ山脈から雲南の山脈群にかけてGenus Digonophorus Waterhouse, 1895:セスジクワガタ属が分布する。殆どが西暦2000年以降の十数年で次々と発見された新分類群。

 中標高〜高標高にかけて分布し、成虫の雌雄で形態差が大きい事から♂と♀で別種扱いだった時代もあった。

f:id:iVene:20231112001137j:image(分類群単位では粗方揃え、友人達の個体群も見せてもらい判別法も大体を理解。♀の分類群識別は難易度が高い)

 Digonophorus属については複数種が見つかるまで"Dorcus属なんじゃないか"という説が長らく並行しつつ存在し、2013年には中華鍬甲2でシノニムとする分類が見られた。

 しかし私も友人達も"安定的な雌雄差異と特徴に特異性がある事"を根拠にDigonophorus属は有効と考え、中華鍬甲2のシノニムとする分類に従わない考えになっている。新たな分類群が見つかるにつけ、どの分類群の♂もDorcus属らしさに欠ける。♀は悩ましいが其れは他属でも同様。

 そもそも中華鍬甲2でMiwanus属が認められDigonophorus属が認められないという論理は基準が不確か過ぎるという事もあった。Digonophorus属シノニム処遇は分類の手法が曖昧だった事が原因だったと考えられる。

 属の分類はシンプルに"分類の簡潔化"が大きなメリットと考えられるが、其の方法自体が目的化して細分的になる事が良くないという事もある。しかし"どう考えても一纏めでまとめられるだろう"という分類群を纏めない属の集約化もまた認知の複雑化を齎す。

https://fanblogs.jp/anotherstagbeetlesofworld/archive/61/0Prosopocoilus prosopocoeloides (Houlbert,1915)もDigonophorus属である可能性が高い。実物は艶消しで暗褐色。♀がDigonophorus属的であるか否かで分類が決まると考えられるが、、)

 Digonophorus属は其の見た目からもヒマラヤの高地で特化した古い系統群と考えられる。分化と特化の不思議について色々な想像を掻き立てさせてくれる、本来とても面白い生物群の一つ。

【References】

Waterhouse, C. O., 1895. Descriptions of new Coleoptera in the British Museum. The Annals and Magazine of Natural History, Including Zoology, Botany and Geology. London 6(16):157-160.

Parry, F. J. S., 1862. Further descriptions and characters of undescribed Lucanoid Coleoptera. Proceedings of the Entomological Society of London 3:107-113.

Nagai, S., 2000. Twelve new species, three new subspecies, two new status and with the checklist of the family Lucanidae of northern Myanmar. Notes on Eurasian Insects Nr.3 Insects :73-108.

Schenk, K.D., 2008. Lucanidae of the Arunachal Pradesh, India and description of two new species (Coleoptera: Lucanidae). Entomologische Zeitschrift 118(4): 175–182.

Huang, H. & Chen, C. C., 2013. Stag beetles of China II. 1-716.

Okuda, N. & Maeda, T., 2015. Three new species of the family Lucanidae from Arunachal Pradesh, northeastern India. Gekkan-Mushi 528:29-34.

Okuda, N. & Maeda, T., 2015. Two new species of the genus Digonophorus and a new species of the genus Prismognathus (Coleoptera, Lucanidae) from Arunachal Pradesh, northeastern India. Gekkan-Mushi, (532): 35–39.

Huang, H. & Chen, C. C., 2016. Two new species of stag beetles (Coleoptera: Lucanidae) from western Yunnan, China. Insecta mundi 0516: 1–8, figs.45-47, 49-50, 52, 54-55.

Okuda, N.; Maeda, T. 2020: Three new subspecies of the genus Digonophorus (Coleoptera, Lucanidae) from Arunachal Pradesh, northeastern India. Gekkan-Mushi, (588): 22-27.

Houlbert., 1915. Description de quelques lucanides nouveaux de la tribu des Cladognathinae (Fin): Insecta, revue illustree d’Entomologie, Rennes 5:48-54.

【追記】

 Digonophorus属の分類群はデータも含め良い原記載が多い。いや、殆どが"普通"の体裁で書かれた記載だから再現性の高い内容の記載文になっていると言うべきか。。。

、、、、、

 正常ではない疑似科学的な論文等を考える際、科学者達はどうしているかというと"最初から信用しない"が対策として採用される。

 「理系なら疑ってかかれ」という言葉があるのはあるが、人によっては疑っただけで何の答えにも到達すらしないまま終わる事もある。一定の答えを導きだし客観的に可視なものとせねば、其れは科学的な立証とは言えない。しかし"疑って分からなかったから信用してしまう"という思考にシフトしてしまう人達がいて、そういう人達が詐欺に引っかかる。其れを踏まえて科学的に「信用しない」という方式がどう活用されるかというと"詐欺の被害に遭わないような対策"とされる。

https://x.com/zimkalee/status/1722414022551867879?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

 疑似科学的な例の多くの問題を抱えると考えられる転売行為に焦点をあててみる。例えば転売屋が虫を売っていたとして、其の売られる虫の採集データの真偽性は客観的には判別がつかないから、第三者はそもそもデータを信用する義務を持たない。他者に転売屋を信用するよう促す事も欺瞞を孕む。転売行為には本質的な問題がある。

 例えば私は"採集家から直接入手した資料"を沢山持っていて、そういう個体群のデータは信用しているが、其れ等以外は時代背景や流通動向でデータの真贋を考える。生物学的現象は特に遺伝学等で見られるように、大雑把な見た目の様子と実態が異なる意味を持つとされる知見が多数ある。だから例えば飼育個体群が出回った分類群などは、ある程度累代が進むくらい時間が経過したならばデータの正確性は真偽不明の時代に入るため以降は採集家以外から入手しないよう対策する等が推奨された。長年意識していて最も良かったと考える事の一つに、やはり有名無名関係なく転売行為に手を染める者達の言う話を全て疑ってかかってきた事がある。

 しかし虫業界はめまぐるしい変遷とは裏腹に結構緩い感じが長らく続いてきた。色々批判的な目線を持つ人達ですら転売行為を寧ろ正当化・奨励していたりして、逆に転売行為そのものを科学的な視点から批判する人間は学者すら皆無の様相。特に某SNSの虫界隈はバランスを欠いている。認知的問題を軸に考えれば放虫問題と同等の問題で、そこまで"統一的"に不都合な事とは思えないのだが、まぁ"転売行為そのものが問題だ"とは言えない人達も沢山いるだろう。

https://www.t-nakamura-law.com/column/%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E8%A1%8C%E7%82%BA%E3%81%A7%E9%80%AE%E6%8D%95%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%89%EF%BD%9C%E9%81%95%E6%B3%95%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E3%81%AE%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%84%E5%88%91

 インターネットの発達とともに生物業界では詐欺的な問題が多数増えつつあるが、其の問題を根絶する以前に"生物体の転売行為"が常態化しているから詐欺の温床となっていると考えられる。転売を許される人達とそうでない人達の基準が曖昧なままで詐欺が云々の話が延々と続くが、私からすれば"全ての転売屋は消えるべき"としか考えられない。許される転売屋が何故存在するか、客観的な線引きが分からないから詐欺が横行する。党派性に偏った政治活動ばかりやってないで、平等且つ公平に転売屋が絶滅すればあらゆる混乱が減少すると予想する。科学的に考えれば、様々な混乱の原因は転売屋の商売と疑似科学シナジーにあるから解決されにくくなっていると解る。転売の正当化は詐欺の横行と連動する。詐欺の上流にある転売問題に切り込めないならば詐欺問題にも切り込めないと考えられる。

https://x.com/botomeze/status/1722455506667946384?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw

嘘吐きは泥棒の始まり

 平気で嘘をつけるような人は盗みも悪いと思わなくなるという例え。転じて、嘘をつくのはよくないということ。

https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%98%98%E5%90%90%E3%81%8D%E3%81%AF%E6%B3%A5%E6%A3%92%E3%81%AE%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A

 様々な問題があるため結構昔から友人達には「全ての転売屋は重大なリスクを抱える」と話してきた。友人達も色々な転売行為に悩まされてきたらしく理解を示してくれるが、標本商の友人は「解るけどどうしようもないで」とコメントされる。

f:id:iVene:20231112000536j:image(分類屋の友人は慧眼のコメントをされた)

 科学者の方々は実験科学の基本を軸とし、転売されるデータの不確かな生物個体を考察に使う意味は無いとされる。仮にそういう不確かな手法を含めて書かれる分類学論文は"有害"ともされる。生物を転売する人達にはそもそも科学的な信用が無いのだそうだ。必要以上に信頼を求める転売屋は詐欺に抵触する事も有り得るだろうと。

 此のように疑似科学や転売屋の話を信じ込むなど科学的には有り得ないのが普通だが、"教条主義"に陥った人達はなかなか現実世界の価値観に帰還出来ない。転売屋の信奉者は自称研究家だったとしても先行きが暗い。

教条主義
 状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用のきかない考え方や態度。特にマルクス主義において、歴史的情勢を無視して、原則論を機械的に適用しようとする公式主義をいう。ドグマチズム。https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%95%99%E6%9D%A1%E4%B8%BB%E7%BE%A9/

 転じて融通の利かない人を揶揄する言葉。

事例

 憲法9条原理主義
 極左暴力集団
 カルト宗教信者
https://d.hatena.ne.jp/keyword/%E6%95%99%E6%9D%A1%E4%B8%BB%E7%BE%A9

マルクスレーニン主義が好きな人や好きだった人は頭が単純ですね。

だから「教条主義から脱しよう」と言って、ますます教条主義にはまってゆきます。
でも本当は利己主義者なのです。だから自分の利益にかなうときはものすごく柔軟です。
教条などは眼中になく、ただただ己の欲望の奴隷です。
自分の利益に反するときはその「教条」を指し示し「それは間違っている」と主張します。

まぁ、そんなもんですよ。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9032075.html

 教条主義の危険性は"歴史の政治利用"など様々な面で見られるが、一般的な理解の浸透は途上にあると考えられる。あらゆる業界で非難轟々の転売含め、いずれは法規制もあるかもしれない。

http://ceec.blog.fc2.com/?mode=m&no=3742

https://x.com/purplepearl39/status/1719561244280262928?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw