【Memorandum】「鍬道」のレビューをしてみる

 2002年から"くぬぎ出版"で出ていた漫画作品「鍬道」は、連載当時のクワガタを中心とした業界について色々なテーマを扱われた漫画作品。初心者向けガイドみたいな仕立てのストーリーで構成される。基本的に各話でテーマが異なる。

http://www.hf.rim.or.jp/~fuzimi/kuwadou.html

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 ただ連載当時は「常識的な事と脚色の濃い内容で新しい知識にはし辛い」との評価が多く予想した程には流行らなかった。

 しかし10年以上経って読み返してみると、当時を思い出し懐かしい気分になる。また今代にこそ響く内容が時々見られる。当時の雰囲気も読み取りやすい。

 連載元の"昆虫フィールド"も問題のある記事を沢山残した商業誌だが「鍬道」単体について見れば当時の業界の雰囲気を知らない初心者達には参考になりそうな予感がある(ただし今は古本しかない)。単行本になっているのは3巻迄だが、雑誌の方では以降も続いていた。

 悪役で出てくる"チーム鍬形野郎"3人グループの下衆なキャラクター性もシナリオにハマった描写がなされていて面白い。虫を使った詐欺や密猟など悪事ばかりするとんでもない3人組だったが、この悪役3人の業の深い思想・精神性と動機また其れによる悪行三昧は、現実の業界に常在する詐欺師〜詐欺師紛いの虫屋連中にも重ねられる。

f:id:iVene:20230411204031j:image(漫画「鍬道」より。飼育個体を木に引っ掛け「天然個体を採集した」と言い張ったが結局看破されるチーム鍬形野郎)

 雑誌「昆虫フィールド」は当時最も商業主義的な昆虫雑誌で怪しげな記事も沢山載る。其の上で「鍬道」は様々な基本的問題について漫画化されたものだったので、真剣に読もうとする人も私のまわりだと少なかった。

 不正を潰しつつ未来の科学に繋げるにはどうすれば良いか、というのも将来の為に昔から考え続けられるテーマの一つ。今代は問題が複雑になり過ぎているため、新しく漫画化するのは難易度が高そう。ただ過去作品でも問題を考えるとっかかり、或いは初心を思い出す為に良い作品と評価したい。

【追記】

 証拠になっていないものを「証拠」と言い張る厚かましい人間も多いし、証拠を証拠と認めない人間も多い。

https://itainews.com/archives/1722689.html

 情景の描写が多彩な漫画等作品はそういう可能性にも上手く気付かせてくれる。

https://www.ponican.jp/rokka/

 とはいえ、面倒な問題解決は今後AIが代わりにやってくれるかアシストしてくれる時代が来るかもしれない。其れも期待したいところ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ChatGPT