【Memorandum】日本国産オオクワガタ

 1998年に入手しておいたWF1個体を手許の未整理ストックから発掘したので懐古。大阪府箕面市産。まだ他にも埋もれていそうだが、野外個体は手元に無い。

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 当ブログ筆者の私は今から26年前の1996年に初めてオオクワガタの採集個体を目にした。自己採集では無い。当時を思い返せばミヤマクワガタノコギリクワガタヒラタクワガタコクワガタ、アカアシクワガタが沢山居た中たった2頭のオオクワガタの物珍しさに注目があった。

 しかし日本の国産オオクワというのは飼育個体が頻繁に売買されだした頃から変な噂が多く、大陸側中国産のオオクワガタが沢山輸入されて飼育個体が流れた頃以降は新しい個体の追加収集を一切辞めた覚えがある。初心者だった当時、毎年行っていた採集も放虫の話を聞いてから全く辞めてしまった。

 某巨大掲示板5chに昔の関連スレッドが多数残っているので当時の混乱や応酬を見たい人は探してみると良い。業界の恥部的だが其れも歴史の一部である。

 "美形オオクワの飼育作出"というのが流行り、売名や目立つ為に外国産オオクワを交配させたり戻し交配させたりして"美形の国産オオクワ"とやる人達が居た時代があった。タイワンオオクワが混じるとすぐ分かったが、大陸側中国産オオクワが混じると分かりにくい。年を経るごとに中庸的な個体が出ていたが、遺伝子の意図的な擬装可能性がある時点で気持ち悪く見えてしまった。

 「データ偽装とか交雑なんていかんねー」と言いつつバッチリ怪しげな個体を"美形だろう"と自慢される人達を複雑な気分で見ていた。

 パテをくっ付けられて顎を太く造られたと一目見れば分かるオオクワを"飼育で作出した"というのが商業誌に載っていて流暢且つ饒舌な説明文が付いていた。度し難かった。

 後から遺伝子コンタミを容易に見分ける術を調べたが有力な方法は見つからずであった。遺伝子コンタミ個体防止は入手しない事しか方法が無いし、リスク回避には生体流通をさせないようにするしか無い。

 オオクワに限らず、昔はコンタミの疑いが無い個体を確保出来た時代がある。飼育個体群に対する不安視が生じる前に入手を間に合わせる事が大切であった。採集したくても出来ない種が膨大という気分で食傷気味だったが。

 昔は有名標本商や業者も沢山の偽装データの大陸側中国産オオクワの生体と死虫を掴まされたらしい。輸入ルートによって福建や湖北などのラベルは正確性に信用が無かった。そのまま売られたろうからアレ過ぎるが。

 "ビッターズオークション"では似た生体トラブルが様々な生き物の取り扱いで多発し死虫にもトラブルが飛び火、サイトは責任を負いきれなくなり其の内にオークションが消滅した。生物体の売買は生死問わずリスクが多い。

 ヤフーオークションに出品者達が移動して今なお古参の構えをズッシリさせている。リスクは増大したままである。今の私はヤフオクやショップの生体死虫には全く用がなくなっているので良いが、普通の人達には酷な状況である。

 リスクだらけなのに未だ"養殖虫で金儲け"を諦めない人達が多いのも違和感が凄い。

 私がオオクワガタに感動していた僅か数年は、私だけでなく数多の虫好きにもオオクワガタの人気は深く、クワガタ・カブトばかりに詳しく他の虫には全く詳しくない"虫ハカセ"を沢山生み出したのだが、商業利用されれば途端に色々なものが終わるものである。相対的に"不人気な虫を調べる研究者の慎ましさ"を尊敬していた。

 いつだったか忘れたが程なくしてムシキングブームが遅れてやってきた。あの頃は虫とカードを見分けられない子供達をよく見かけた。

 オオクワガタについて暫く考えないでいたが、機会と思い記事とした。

 ちょうど2004年辺り、分類屋の友人と知り合って間もなかった頃だが、友人のコレクション中には数多世界中のクワガタムシに加え、友人が"自己採集"した1980〜1990年代の野外オオクワガタ個体群が特大ドイツ箱にギッシリ詰めこまれていて、其の個体群の形の清麗さに感動した覚えがある。1970年代の個体もあった。"飼育個体に比べてあまりにも綺麗だった"という相対的なものではあったが、神々しさを見違えた事は脳裏に浅い。

 其の箱の個体群を見た人達は此の業界に多くいる筈だが、その存在を知らしめようみたいな人達が今の今まで何十年も全く出てこないのは、やはり"そういう事"なのだろうか。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%AE4%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%9C

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【追記】

https://otona-life.com/2022/08/31/133872/amp/

 ヤフオクの自主規制は未だ不足が多いが、漸くとはいえやっとの進展であるため私は評価したい。